政府は9日、2015年版の観光白書を発表した。それによると、2014年の訪日外国人旅行者数、訪日外国人の旅行消費額はともに過去最高を記録したことがわかった。
2014年の訪日外国人旅行者数は前年比29.4%増の1,341万人と、2年連続で過去最高を更新。この数は、2013年の「外国人旅行者受入数ランキング」では20位に相当し、「空路または水路による外国人旅行者数受入数ランキング」では11位に当たるという。
訪日外国人旅行者数の内訳は、台湾が283万人(構成比21.1%、以下同)で最も多く、次いで韓国が276万人(20.5%)、中国が241万人(18.0%)、台湾が93万人(6.9%)。地域別では、アジアは1,061万人で全体の79.1%、東アジアは892万人で全体の66.5%を占めた。また、ASEAN諸国(6カ国)は160万人(11.9%)を突破し、北米も107万人(8.0%)、欧州主要3カ国(英・仏・独)も54万人(4.0%)に増加した。
一方、日本人の海外旅行者数は前年比3.3%減の1,690万人と、2013年に続いて減少した。円安で旅行代金が上昇したことよる割高感などが影響したと分析している。
訪日外国人の旅行消費額は前年比約4割増の2兆278億円と、過去最高を記録。国・地域別では、中国が同27.5%増の5,583億円と、全体の4分の1以上を占めるまでに拡大し、以下、台湾が3,544億円(17.5%)、韓国が2,090億円(10.3%)、米国が1,475億円(7.3%)と続いた。
費目別旅行支出額(1人当たり)を見ると、「買物代」の1位は中国人で12万7,443円、「宿泊料金」の1位は滞在期間が比較的長いオーストラリア人で9万3,484円、「飲食費」の1位はベトナム人で5万4,361円、「交通費」の1位はオーストラリア人で3万3,755円、「旅行支出総額」の1位は企業の研修で訪日する人数が多いベトナム人で23万7,688円となった。
拡大するインバウンド消費に対する国内産業の取り組みを見ると、製造業では"メイド・イン・ジャパン製品"を供給するため、国内工場で生産能力向上のための設備投資の動きが見られたほか、小売業では免税カウンターの設置や通訳スタッフの増強などが実施された。また、金融業では海外発行キャッシュカードへの対応などが行われている。
今後の観光施策については、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を活用した訪日プロモーションや、インバウンド推進の担い手の拡大、ビザ要件の緩和などを進めるよう提言している。