2015年度予算が9日の参院本会議において、自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の歳出総額は過去最大の96兆3,420億円となり、2014年度当初予算と比べて4,596億円増加した。
歳入面については、税収は54兆5,250億円と、前年度(当初予算、以下同)の50兆10億円から4兆5,240億円増加し、1991年度(決算)以来24年ぶりの水準となる見通し。新規の国債発行額は36兆8,630億円と、同4兆3,870億円減少した。歳入に占める借金の割合を示す公債依存度は同4.7ポイント低下の38.3%となったものの、依然として4割近くを占めている。
歳出面については、政策経費(基礎的財政収支(PB=プライマリーバランス)対象経費)は同2,791億円増の72兆8,912億円と、過去最大を更新。基礎的財政収支の赤字幅は13兆4,000億円、対国内総生産(GDP)比はマイナス3.3%の赤字となった。政府は対GDP比の赤字を2010年度の半分(マイナス3.3%)にする目標を掲げているが、これについては達成できる見込みだ。
政策経費の内訳を見ると、社会保障関係費は同3.3%増の31兆5,297億円と、過去最大を記録。子育て支援制度を拡充する一方、介護報酬の引き下げや生活保護の適正化などを実施する。
地方交付税交付金等は同3.8%減の15兆5,357億円。地方創生の取組にかかる経費として地方財政計画に1兆円を計上した一方、リーマン・ショック後の危機対応である地方交付税の別枠加算を減額した。
公共事業関連費は同26億円増の5兆9,711億円。事前防災・減災対策の充実、インフラの修繕・更新などの老朽化対策の推進、物流ネットワークの整備による国際競争力の強化を図る。文教および科学振興費は同1.3%減の5兆3,613億円、うち科学技術振興費は同3.9%減の1兆2,857億円となった。
防衛関係費は同2.0%増の4兆9,801億円と、3年連続の増加。警戒監視能力の強化や島嶼部攻撃への対応を強化するとともに、在日米軍再編事業を推進する。経済協力費は同0.7%減の5,064億円で、うちODA費は同1.5%減の5,422億円となったが、補正予算や円借款、国際機関への拠出国債を含む政府全体のODA事業量は前年度より増額した。
このほか、中小企業対策費は前年度比0.2%増の1,856億円、エネルギー対策費は同6.8%減の8,985億円、食料安定供給関係費は同0.9%減の1兆417億円などとなった。