楽しい行事に生理で悩まないようにするために知っておきたいことをまとめた(写真は本文と関係ありません)

遠足や運動会、修学旅行に学園祭と、秋は子どもの学校行事がたくさんある季節。だが、生理痛で思うように楽しめない小中学生も意外と多いという。

そんなとき、親はどのようにアドバイスしてあげたらよいのだろうか。ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに「小中学生の生理痛対策」について聞いた。

子どもは痛みを我慢しがち

同社が2010年に行った調査によれば、初潮年齢の低年齢化に伴って生理痛を訴える小中学生が増加しているという。さらに、生理痛があるのに痛みを我慢している小中学生が約140万人にものぼることもわかっている。

「生理を迎えてから数年は子宮口が固くて狭いなど、まだ子宮が未成熟です。そのため、経血がうまく排出できずに強い痛みを感じることがあります。子宮の成熟とともにこの痛みは治まりますが、デリケートな話題のため思春期のお子さんからは相談しにくく、痛みを我慢してしまうことが多いようです」。

生理の痛みを和らげるには

生理痛の痛みをやわらげるには、まずは腰とおなかを温めて血行を促すことが大切だ。生理中はシャワーではなく浴槽につかってしっかりと体を温めることが有効だというが、学生ならではの悩みもあるという。

「女子の制服はスカートが多く、どうしても冷えやすいです。『冷え』は血行を妨げて生理痛を招きやすいので、使い捨てカイロやブランケットなどで冷え対策をするとよいですね。普段着でも、おなか周りが冷えないような服装をするようにしましょう」。

血行をよくするため、軽いストレッチなどの運動も有効だという。気分転換にもつながるので、体調が良ければ体育の授業は必ずしも休む必要はないと山岸さんは話す。そのほか、食事をきちんと摂(と)ることも大切だ。

「無理なダイエットなどで必要な栄養が足りないと、血行が悪くなることでさらに冷えやすくなります。一日3食のバランスの良い食事をとることが大切です」。

場合によっては薬の活用を

我慢のできない痛みや、どうしても行事を休みたくないときには鎮痛薬も有効だ。鎮痛薬は大人向けのものではなく、必ず子どもの年齢に合ったものを選び、痛いからと飲みすぎることがないようにしっかりと指導や管理するように心がけたい。

「小児用の鎮痛薬には、パッケージに飲んだ日を記録するメモなどがついている製品もあります。学校で服用する場合は、保健の先生などに薬を持っていることを伝え、保健室で服用させてもらうようにしてもよいでしょう。上手に活用して、痛みのつらい時期を乗り越えましょう」。

飲んだ日を記録するメモや、錠剤がポーチなどから飛び出さないよう工夫されたパッケージ

もし起き上がれないほどの強い痛みを感じる場合には、すぐに婦人科へ相談するようにしよう。

行事のときに備えておきたいもの

行事の当日は「ナプキン」「替えの下着」「鎮痛薬」、寒い時期にはさらに「防寒具」「カイロ」の5つをセットで用意しておくと、万一の場合も安心だ。まだ生理が始まっていなかったり、予定日ではなかったりする場合でも、念のために備えておくとよい。特に受験などの場合は長時間座っていることになるので、ナプキンは夜用のものや長めのものを用意しておこう。

「服装なども色の濃い服など、もし汚してしまっても目立たないものを選んでおくとさらに安心です。10代の頃はまだ生理周期が安定しておらず、不意に始まってしまうこともあるので注意してあげてください」。

また、生理周期に伴っておなかを下してしまうことも少なくない。最近では水が無くても服用できる下痢止め薬も市販されているので、うまく利用しよう。

思春期だからこそ、なかなか親には話しにくい生理のこと。ぜひ、親のほうから働きかけて、子どもたちが生理で悩むことがないよう、快適な青春を過ごせるようにしてあげたい。

取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん

ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。