大阪府や大阪商工会議所、港湾管理組合などはこのたび、「南海トラフ巨大地震津波浸水対策」について、伊勢湾および大阪湾における防潮堤緊急対策を推進するため、国への要望書を12日に提出すると発表した。

同地域は、中京工業地帯や阪神工業地帯を抱え、域内総生産は全国の5分の1を占めるなど、日本経済を牽引する重要地域のひとつ。しかし、同地域には広範なゼロメートル地帯や地下街・地下鉄などの地下空間があり、南海トラフ巨大地震が発生した場合には甚大な被害が予想され、その影響は日本経済全体におよぶ恐れがある。

伊勢湾および大阪湾の沿岸域。1府3県の域内総生産は全国の5分の1を占める(出典:大阪商工会議所Webサイト)

被害を低減するためには、災害時の避難行動の徹底と併せて津波浸水対策を着実に進めることが不可欠であるが、全国防災対策費に係る事業制度は2015年度で終了予定となっており、防災・減災対策の財源不足が懸念されている。この様な状況を踏まえ、要望書では大規模かつ緊急性の高い津波浸水対策を行うため、下記の事項を求めている。

1.南海トラフ巨大地震津波浸水対策に必要な予算の総額を確保すること

2.河川・海岸堤防の液状化の沈下対策等に資する防災・安全交付金や農山漁村地域整備交付金などの大幅な増額を図り、重点配分すること

3.現行の全国防災対策費と同等の制度の新規創設・拡充を行うとともに、短期間に集中的な事業推進が図れるよう、重点配分すること

4.各地域の実情に応じて対策が促進されるよう地方財政に十分配慮した措置を講じること