山田洋次監督映画『男はつらいよ』シリーズの主人公・寅さんの世界を味わえる東京・葛飾にある「葛飾柴又寅さん記念館」に行ってきた。

寅さんの実家の団子店「くるまや」の撮影セット

寅さんワールドは、館内に入る前からスタート。入口の壁に、慣れない手つきで館名の看板文字を取り付け中の寅さんの像が設置されており、真下の床面には、雪駄の片方が飾られている。

館内に入ると、まず、寅さん映画の製作現場を紹介するプロローグ「男はつらいよの世界」が広がる。山田洋次監督をはじめ、撮影、照明、メイクなどのスタッフの仕事についてパネルと映像で紹介するほか、監督が実際に使ったメガホン・デッキチェアーなども展示され、まるで撮影現場にいるような雰囲気を味わえる。

入口で寅さん像がお出迎え

寅さん像の真下に雪駄が

プロローグ「男はつらいよの世界」

次に登場する撮影スタジオ「柴又帝釈天参道」では、寅さんの少年時代の6つの物語を紹介。少年時代から、東京大空襲、家出、テキ屋稼業に入り、20年ぶりに柴又に戻るまでの6場面を、妹さくら役の女優・倍賞千恵子のナレーションと共に、可動式のジオラマでたどることができる。

そして、実際に撮影で使用したセットを大船撮影所から移設した、撮影スタジオ「くるまや」。寅さんの実家である団子店「くるまや」の店内をはじめ、台所やお茶の間の撮影風景を再現している。黒電話、ちゃぶ台、レトロな冷蔵庫や鍋などの懐かしいアイテム、おいちゃんの白衣やトランクも、セットの一部として展示。お茶の間では、このセットで撮影した名場面を見ることもできる。また、草団子の香りが楽しめる仕掛けも。

撮影スタジオ「柴又帝釈天参道」

寅さんの少年時代をイメージしたジオラマ

撮影スタジオ「くるまや」

撮影スタジオ「くるまや」の奥には、2012年12月のリニューアルで新設された撮影スタジオ「朝日印刷所」が登場。「朝日印刷所」は、「くるまや」の裏手にあるタコ社長が経営する活版印刷工場で、多くの名シーンが誕生した場所。実物の活版印刷機が展示されており、インクの匂いも再現している。

続いて、寅さんの実家「くるまや」のミニチュア模型を展示。1階・2階部分とも家の造りを隅々まで確認することができる。1階には、お店と台所とお茶の間。階段をあがった2階には、寅さんが帰ってきたときの部屋もあり、お昼寝をしている寅さんの姿も。

撮影スタジオ「朝日印刷所」

実物の活版印刷機を展示

「くるまや」のミニチュア模型

そのほか、昭和30年代の柴又帝釈天の街並みを再現した「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又ですコーナー」や、日本で唯一、寅さんと一緒に記念撮影できる「記念撮影コーナー」、寅さんが旅先で出会うマドンナや、感動の名場面を振り返る「選択映像コーナー」、葛飾の原風景のひとつだった人車鉄道を周辺風景とあわせて再現した「人車鉄道ミニチュア」、寅さんのエピソードなどをクイズ形式で出題される「どれだけご存知Q&Aコーナー」、寅さんの稼業や人生にまつわる「資料展示コーナー」など、盛りだくさん。さらに、寅さんグッズがそろうショップ「柴又下町や」も。ショップでは、寅さんになりきって写真撮影できる衣装レンタル「寅さん変装セット」500円も用意している。

昭和30年代の柴又帝釈天の街並みを再現

2001年に出土した寅さんそっくりの埴輪

トランクの中身など寅さんの全財産を展示

記念館を出ても、まだまだ続く寅さんワールド。建物中心にある庭「光庭」には、全国のロケ地を焼き付けタイルで地図化した「こころのふるさとマップ」を設置しており、タイルに描かれたロケ地の絵柄や作品番号を手がかりに、寅さんの旅の足跡をたどることができる。ベンチに寅さんの帽子とトランクが置いてあるほか、壁のタイルの色が寅さんのスーツの背広の色になっていたり、扉の形が寅さんの顔をイメージしていたり、隠れ寅さんも。また、屋上の「柴又公園」からは、映画でおなじみの帝釈天や江戸川が一望できる。

全ロケ地をタイルで地図化

寅さんの顔をイメージした扉

帽子とトランクが置かれたベンチ

【住所】東京都葛飾区柴又6-22-19
【電話】03-3657-3455
【開館時間】9:00~17:00(なるべく閉館30分前までに入館するようにとのこと)
【休館日】第3火曜日(第3火曜日が祝日・休日の場合は、直後の平日)
※12月の第3水・木曜日も休館、年末年始は営業
【入館料】一般(高校生以上)500円、児童(小・中学生)300円、幼児無料、シルバー(65歳以上)400円、団体(20名以上)400円 ※山田洋次ミュージアムと共通券
【交通】京成金町線柴又駅より徒歩8分、または北総線新柴又駅より徒歩12分