今月、2013年11月に創立90周年を迎えたフィンエアー。その歴史は定期便を運航するエアラインの中で世界で5番目に長い。創立以来、一度も人身事故を起こしたことがない揺るぎない信頼感でも知られる。そのフィンエアーがいま、新しいサービスを続々とスタートしている。ミシュランのスターシェフ監修の機内食や既報の「マリメッコ・フォー・フィンエアー」コレクション、フルフラットシートなどだ。その新サービスを実際に体験してきた。
マリメッコにイッタラ、北欧デザインが随所に
フィンエアーの機内に入ると、明るくて爽やかな印象受ける。ブルーと白で統一された座席に加え、ファッション企業のマリメッコとのコラボレーション「Marimekko for Finnairコレクション」でテキスタイルやテーブルウェアにマリメッコが採用されているのも、そういう印象を受ける理由のひとつ。今回体験したビジネスクラスの機内に入ると、座席に置かれたクッションとブランケットに淡いグリーンのマリメッコデザインが施されていた。
ジャケットを預けて席につくと、ウェルカムドリンクのサービスだ。同社は英国『ビジネス・トラベラー』誌の「ベスト・ワイン・セラー・イン・ザ・スカイ」を受賞した「ジョセフ・ペリエ・キュヴェ・ロワイヤル」を用意しており、キラキラ光る「イッタラ」のグラスで提供する。「イッタラ」といえば、マリメッコと並び称されるフィンランド・デザインのファッッションブランド。ワイングラスにもその「イッタラ」ブランドが使われていた。
有名シェフが監修する繊細すぎる機内食
さて、今回のフィンエアーの新サービスで大きく変わったのが機内食である。フィンランドの有名シェフによるシグニチャー・メニューを採用。ヘルシンキ市内にあるレストラン「OLO(オロ)」のオーナーシェフであるペッカ・テラヴァ氏と、フィンランド国内外で4店舗を展開するトミー・ビョルク氏が監修するメニューを、3カ月交替で味わえる。
ペッカ・テラヴァ氏(左)とトミー・ビョルク氏(右)。「機内食はチルドした後に機内で加熱するなど、特別な行程に留意しなくてはいけない。それでも、フィンエアーのスタッフとの協力で完璧な機内体験を作り上げた」(テラヴァ氏)※写真提供:フィンエアー |
北欧料理を専門とするテラヴァ氏は、トナカイのフィレ肉(写真)やイグチ茸(ピューレ)、ラップランドポテトなどをメニューに盛り込み、ビョルク氏は和食とタイ料理にインスパイアされた料理を提供する。今回のフライトでは、ペッカ・テラヴァ氏の料理を堪能。氏の料理の繊細さが、機上でも十分に表現できていたように感じた。
この日のペッカ・テラヴァ氏によるシグニチャーメニュー。前菜は「キクイモとリンゴのクリームスープ」と「北欧産エビとアボガドのピューレ」。スープのクリーミィでまろやかな仕上がりに驚嘆。温かいパンとの相性抜群。北欧産エビが使われているのもペッカ氏らしさ |
「ヨーロッパへ最短最速」旅をフラットなベットで
食事の後は快適な角度に座席をリクライニングし、質の高いデザートワインを味わいつつ、映画を鑑賞した。音楽やゲームなどエンターテインメントのチャンネルは170ほどあるが、日本語で楽しめる映画の数が比較的多いのも特徴だろう。
映画が終わると座席をフラットなベッドにしてすぐに就寝。ぐっすり眠れ、目が覚めると既に目的地に向かい降下を始める前だった。というのも、フィンエアーの日本(成田・関空・名古屋の3都市発着)~ヘルシンキ間は約9時間半。帰国便は9時間程度で到着することも多い。これが「ヨーロッパへ最短最速」と言われるゆえんだ。この日も時間を持て余すことなく成田に到着。快適なフライトになった。
※取材協力:フィンエアー、フィンランド政府観光局