日本総合研究所はこのほど、地方自治体の電力関連事業への関心と関与の可能性に関するアンケート調査の結果を発表した。同調査は、2012年11月~12月の期間に行われ、全国の地方自治体159団体(都道府県27団体、都市部自治体50団体、被災地自治体82団体)から有効回答を得た。
まず、再生可能エネルギーや地域エネルギーマネジメントなど、電力関連事業に対する関心の有無を聞いたところ、都市部自治体では96.0%、都道府県では96.3%が「関心あり」と回答。また、被災地自治体においても81.7%が「関心あり」と答えた。
電力関連事業に関心を持った理由については、「住民の環境意識が高まっているため」が46.8%で最多。次いで、「地元産業の創出・振興のため」が26.2%、「自治体としてのBCP(事業継続計画)を実現するため」が20.6%となった。
現在実施中もしくは計画中の発電事業を質問すると、9割近い88.1%が「太陽光発電」と回答。以下、「水力」が27.7%、「風力」と「廃棄物バイオマス」が同ポイントの18.2%、「コジェネ」が17.0%と続いた。発電した電力の利用方法は、トップが「発電した施設内での消費」で81.8%、次が「一般電気事業者への売電」で45.9%。一方、「周辺公共施設への供給」(9.4%)、「住宅への供給」(1.9%)、「地域産業への供給」(1.9%)は1割以下にとどまっており、ほとんど検討に至っていないことがわかった。
再生可能エネルギーや地域エネルギーマネジメントにおいて、関心のある取り組みを聞くと、全ての属性の団体で「公共施設への小規模発電設備の導入」が最も高く、都市部自治体と被災地自治体が同ポイントの62.5%、都道府県で37.5%となった。同社は「震災をきっかけに、防災拠点となる庁舎や学校施設等の脆弱性が明らかとなったことが大きく影響していると考えられる」と分析している。
また、都市部自治体と被災地自治体では「地域エネルギーマネジメントの実施」が次点にランクイン(都市部18.8%、被災地17.2%)。現状では、直接供給や需給調整等を実施している地方自治体は1割以下にとどまっているものの、潜在的に地域エネルギーマネジメントへの関心を持つ地方自治体は、その2~3倍存在していることが明らかになった。
地域での電力関連事業に最適な実施主体を問うと、都市部自治体で77.8%、被災地自治体で70.8%が「自治体と民間企業が協力して取り組むべき」と回答。また、両団体に対し、「民間に期待する助力」を尋ねると、ともに「資金の調達」や「ノウハウの提供」などが高い数値となった。一方、都道府県では「民間企業が取り組むべき」と答えた団体が最も多く46.7%に上った。