東京商工リサーチは10日、2012年4-6月期の「為替差損」調査の結果を発表した。同調査は、東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機械メーカー(3月決算)を対象に行われたもの。
それによると、東証1部、2部に上場する主なメーカー419社のうち、2012年4-6月期に為替差損を計上したのは266社(構成比63.4%)で、前年同期の255社より14社増えた。為替差損の総額は1,645億8,400万円で、前年同期の687億4,900万円と比べて958億3,500万円増の約2.4倍に拡大した。
為替差損を計上した266社のうち、差損計上額が最も多かったのは「任天堂」で211億500万円。以下、「日産自動車」の171億3,900万円、「マツダ」の94億4,500万円、「三菱重工業」の84億6,200万円、「富士重工業」の65億8,000万円と続いた。また、上位10社のうち7社は海外取引が主体の企業となっている。
任天堂の2012年4-6月期為替レートは、1米ドル=79.3円(期首想定レート80.0円)、1ユーロ=98.7円(同105.0円)と想定レートを上回り、為替差損額は前年同期の50億6,500万円と比べて4.1倍に拡大。東京商工リサーチは「同社の地域別売上高は、米大陸、欧州で56.0%と海外売上が主体になっており、為替変動の影響を大きく受けた」と分析している。
日産自動車の2012年4-6月期為替レートは、1米ドル=80.2円(期首想定レート82.0円)、1ユーロ=102.8円(同105.0円)と想定レートを上回り、為替差損額は前年同期の60億7,900万円と比較すると2.8倍に膨らんだ。マツダは、欧州での為替変動が大きく、為替差損は前年同期の46億4,300万円と比べて2倍に拡大している。
為替差損を計上した266社を市場別に見た場合、東証1部が224社(前年同期211社)で、差損総額は1,615億4,100万円(同654億5,400万円)。東証2部は42社(同41社)で、差損総額は30億4,300万円(同32億9,500万円)となった。社数は、東証1部、2部上場ともに前年同期より増加。為替差損総額は、東証2部が前年同期を下回ったのに対し、東証1部は増加し、全体の差損総額が拡大した。
一方、為替差益を計上したのは61社(構成比14.5%)で、前年同期の69社と比べて8社減少。差益総額は278億1,500万円で、前年同期の77億5,300万円より200億6,200万円増の約3.5倍となった。差益を計上した企業は減っているが、差益総額は大幅に増えており、同社は「一部の企業で円高の高止まりを念頭に、想定為替レートを高めに設定したことが貢献した」と推測している。