味覚や香りを科学的な指標で評価する味香り戦略研究所は、市販ビールメーカー各社の売れ筋ビール4種を対象に、香り判定のプロである自社所属の官能審査員10名と日常的にビールを飲用する一般男女120名を対象に、「ビールの香り」についての官能検査を実施した。
検査は20~40代の官能検査員と一般男女を対象に実施。使用したビールはアサヒ「スーパードライ」、キリン「一番搾り」、サントリー「プレミアムモルツ」、サッポロ「黒ラベル」の4種。ブラインド形式で硬質プラカップに用意し、嗅覚で感じた香りレベルを口に含む前後で全6項目を質問した。
まず、官能検査員に対する検査では、「口に含んだ後の芳ばしい香り」において「一番搾り」が1位。「華やかな香り」「口に含んだ後のフルーティな香り」など5項目では「プレミアムモルツ」が最も支持を集めた。香りの総合評価では「プレミアムモルツ」が6票と最多、続いて「黒ラベル(2票)」、「スーパードライ(1票)」という結果になった。
一方、一般モニターに対する検査では、「口に含む前の鼻通りの良い香り」「口に含んだ後の芳ばしい香り」では「黒ラベル」が1位だった。「口に含む前のフルーティな香り」「口に含んだ後の華やかな香り」などの4項目では「プレミアムモルツ」が1位。香りの総合評価に関しては、官能検査員の結果同様、「プレミアムモルツ」が最も多く44票を集めた。官能審査員の結果と比較すると若干の違いはあるが、おおむね「プレミアムモルツ」が高い評価を得る結果となった。
また、香りの感覚をつかさどる脳に与える影響について、杏林大学医学部の古賀良彦教授の協力のもと実験を実施。20~40代の一般男女8名を対象に、官能検査と同一のビール4種を用い、それぞれの匂いを嗅いだ時の脳波の測定を行った。その結果、リラックスした状態の時にに表れるα波は、「プレミアムモルツ」「スーパードライ」の匂いを嗅いだ時に多く出現することが判明。特に最もα波が多く出る銘柄は「プレミアムモルツ」という結果になり、それらのビールの香りにはリラックス効果があることが確認された。
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