アメリカン・インターナショナル・グループ・インク(AIG)傘下の損害保険事業会社、チャーティス・インクは10日、グループ会社であるチャーティス・ジャパン・キャピタル・カンパニー・エルエルシー(チャーティス・ジャパンLLC)を通じ、富士火災海上保険の普通株式および新株予約権の全てを公開買付けにより取得することを発表した。公開買付価格は1株当たり146円となる。

富士火災の取締役は、2011年2月10日開催の取締役会において今回の公開買付けに賛同を表明するとともに、株主が公開買付けに応募することを推奨すること及び新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては新株予約権の新株予約権者の判断に委ねることを決議している。

また、チャーティス・ジャパンLLCは、富士火災の主要株主であるオリックス(株式所有割合 : 15.53%)との間で、2011年2月10日付で公開買付応募契約を締結。オリックスは、本公開買付応募契約の条項に従い、同社が保有する富士火災株式の全てを公開買付けに応募する予定となっている。

今回の公開買付価格は、2011年2月9日までの過去3カ月間の東証1部における富士火災の普通株式取引終値の単純平均値113円に対して29.20%、2011年2月9日の終値112円に対して30.36%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となる。今回の公開買付取引総額は約470億円。公開買付期間は2011年2月14日から同3月24日まで。

AIGでは、「富士火災がチャーティスの完全子会社となることで、業界再編が進む日本の損害保険市場におけるチャーティスの地位がさらに強固なものとなる」とする一方、「富士火災はチャーティスのグローバルな経営資源、ブランド力、資本力を活用して競争力の強化を図ることができる」としている。

2011年2月10日時点でチャーティス・グループ会社は合計で富士火災の株式の54.66%を保有しており、富士火災はチャーティスの連結子会社となっている。今回の公開買付け成立後は、チャーティスは、「日本の法令に従った必要かつ適切な組織再編などの手続きにより、公開買付けに応募されなかった全株式を取得する予定」(AIG)。手続き完了後、富士火災は東京証券取引所および大阪証券取引所から上場廃止となり、チャーティスの完全子会社となる。