アジア時間概況

アジア時間は、小動きになる様相だったものの、北朝鮮が黄海に向けて砲撃を行ったという報を受け円と韓国ウォンが対ドルで売られる展開となり、ドル円は83.73まで上昇。ただ、上値で控えている実需筋の売りや、株式市場の反落を受けてのリスク回避のクロス円売り圧力が円売りの動きをやや相殺している格好となっている。

その後、北朝鮮の砲撃は訓練だったと判明したことからいったんは落ち着いたものの、米10年債金利が5年ぶりの水準に上昇したことを受けてユーロや豪ドルが対ドルで反落。その地合いを受け、ドル円も84円すれすれまで上昇した。

株式市場では、韓国200種、香港HSと軟調地合いになっている。香港市場では中国が今週末にでも利上げが行われるという観測が根強く、ファンド筋からのポジション解消圧力もあった模様。北朝鮮の話題からも地政学上リスクが改めて意識され、アジア市場の上値を抑える展開となった。

本日の主要経済指標

・20:00 ドイツ:10月鉱工業生産

・21:00 米国:MBA住宅ローン申請指数

・22:15 カナダ:11月住宅着工件数

・27:00 米国:10年債入札(210億ドル)

・翌05:00 ニュージーランド:RBNZ政策金利発表

要人発言

・18:20 オーストラリア:ロウRBA総裁補佐の発言

・25:00 ドイツ:ウェーバー独連銀総裁の発言

欧米時間の見通し

市場の関心は依然としてユーロの信用問題にあるが、アジア時間に入って、にわかに米金利の動きに反応している。先週の雇用統計結果が思わしくなかったことに加えて、3年債入札がはかばかしくなかったことから、10年債入札に対する懸念も出ている模様。その一方で、一部では、米系金融機関を中心に米経済に対する見通しが上方修正されつつあるという見方もあるようだ。前月の雇用統計発表後にFRBの金融緩和に対する強い期待感から構築されていた市場のポジションは多少なりともポジション解消されたと市場では言われていた。

今回10年債利回りが中長期のファンド筋がポイントとしている金利水準である2.7-3.0%を超えたことで再度ポジション圧縮が持ち込まれているらしい。テクニカルな動きとはいえ、為替市場ではドルのサポート要因となり、欧州懸念ではユーロ、中国経済関連では豪ドルへの圧力として働いている。

テクニカル的にみると、ユーロは8月安値からの61.8%を再度割り込んでいることから、1.30台への反落の可能性が高まっている。 その意味では、今晩の米10年債入札がどのような結果となるのかどうかが注目されよう。米金利上昇の展開が継続されるのであれば、欧州通貨の地合いは弱いか。

一方、ドル円にとってはサポート要因となろうが、84円台からは本邦筋からの売り圧力があるといわれている。他の通貨の対ドルの動きよりは、ドル高方向については鈍いかもしれない。

そして、欧州の信用問題については、引き続き注意が必要であろう。クレジットリスクは多少落ち着いてはいるが、国債利回りはポルトガルをはじめ、依然高水準にある。欧州当局者の間でも新たな支援体制について様々な意見が出ているが、好調な経済を示しているドイツ・フランスにおいては、それなりの条件を新たに追加するスタンスは崩していないようだ。  引き続き、欧州当局者のユーロ・信用問題に対するコメントには注意しておきたい。