【今日のCFD】スポット金

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、量的緩和第2弾(QE2)の規模拡大を示唆したことを理由に金相場は急伸。欧州時間にはドル安の支援も手伝い過去最高値を更新した。米国内でも批判の的となっている今回の金融緩和だが、バーナンキFRB議長は失業期間の長期化に伴い、失業者の職業能力が退化することに対して懸念を表明し、金融機関の中小企業への資金供給不足について懇切丁寧に説明するなどQE2批判に対して徹底抗戦の構えを見せた。

これがQE2遂行に向けた議長の揺るぎない決意表明と受け止められ、大規模金融緩和によって貨幣の価値を下げると同時に、その流れが長期化するとの思惑が、金相場に買い安心感を与えている。

ただ、その後売り圧力が強まったところを見ると、このまま一方的な吹き上げ相場に発展する可能性は低い。過去最高値を更新したことで短期的には高値警戒感が強まり易くなっていることに加え、為替市場では再びドル高トレンドが対ユーロで強まっている。

また、今回の減税によって米財政赤字拡大に対する懸念が強まるということから米長期金利の上昇が促されており、10年国債の利回りが前日比0.20%上昇の3.13%まで上昇した。これもドル買い要因へとつながり、昨日同様に金相場では恰好の利食い売り材料と捉えられる可能性がある。

このように刻々と変化するファンダメンタルズではあるが、長期的には強気の相場環境に変化は無いと見ている。

高値警戒感、ユーロドルの不安定な値動きに加え、来週13日に中国の経済指標発表、14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えているためイベントリスクも警戒されているが、ファンド筋や大口機関投資家などは、万が一こうしたイベントで急落する場面があれば、来年に向けてのロングポジションを構築する絶好の機会とみている。あくまでも買いを入れる価格水準を探る相場環境が継続している中で、チャートの流れもまだ急激に金売りへと転換した訳ではない。

テクニカルで見ると、昨日はボリンジャーバンド(MA21 σ2.5)の上限が意識され強烈な陰線が出現し、更に今日は1400のラインがレジスタンスとして意識されており、ちょっと気持ちが悪い気もする。しかし、1431-1316のフィボナッチ38.20%戻し(1387)レベル、その下の1380レベルでは、直近の動向を見るとサポートとして意識される傾向が見られることから、ひとまずこのレベルでの攻防を注視したい。

仮にこのレベルをブレイクしても、すぐ下にはボリンジャーバンドの中心線(1375)が控えている。更にフィボナッチ50.00%戻し(1373)、23.60%戻し(1367)、そして23.60%戻しとクロスする短期サポートラインと下値ポイントが密集していることを考えれば、下落幅は限られ、再び最高値更新を目指し反転するのではないか。

また、サポートラインをブレイクしても1350ドル、1335ドルと段階的にサポートポイントが点在している点も金相場の下支え要因となる可能性もある。

スポット金 日足