昨日の欧米市場
欧米株式は強弱まちまちの展開へ。くすぶり続ける欧州債務問題を巡り各国の足並みが乱れていることを理由に銀行株が圧迫される状況が継続。その一方で、商品市場での堅調な値動きを受け資源系セクターが株式相場を下支えした。特に、欧州や米国の一部が寒波に見舞われていることから暖房用燃料の需要が増大していることを受け、原油価格が1バレル=90ドルに迫る勢いを見せたことから、エネルギー株の上昇が目立った。
また、オバマ大統領がブッシュ前政権時代の減税政策に関し、延長に妥協するとのコメントを発したことも株価の下支え要因となった模様。
一方、為替市場では行きすぎたユーロ買い/ドル売りを修正する動きが見えるも、連邦準備理事会(FRB)の追加緩和策を背景にドルの弱い地合いは継続した。ただ、欧州債務問題からユーロを買い進める動きも限定的だった。円相場は総じてボックス相場の展開となった。ドル円は83.00がレジスタンスとして意識されるも82.50レベルでは根強いドル買い需要に支えられる状況が継続したまま、本日のアジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・12:30 豪:RBA(豪準準備銀行)政策金利発表
・14:00 日本:10月景気一致CI指数(速報値)
・14:00 日本:10月景気先行CI指数(速報値)
・15:45 スイス:11月失業率
・18:30 英国:10月鉱工業生産
・18:30 英国:10月製造業生産高
・20:00 ドイツ:10月製造業受注
・23:00 カナダ:BOC(カナダ中銀)政策金利
・29:00 米国:10月消費者信用残高
要人発言
・27:15 ユーロ圏:コンスタンシオECB副総裁の発言
アジア時間の見通し
アジア株式市場は、欧州債務問題や中国の金融引締め観測を受け、引き続き投資家の慎重姿勢が続きそうだ。
鍵を握るのは為替の値動きだろう。アイルランドやポルトガルの債務問題を受け、米追加金融緩和観測によるユーロ買い/ドル売り基調も、1.34レベルで抑えられる状況が続いている。背景にはユーロ圏財相会合をめぐり市場の不信感が再び強まっていることが挙げられる。ドイツが欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れ枠拡大に反発していることにより、欧州各国の足並の乱れが再び市場で指摘され始めているためだ。更に国際通貨基金(IMF)がユーロ圏に対し救済基金の増強を要請する見通しだが、ドイツはこれにも異を唱えるとの観測もある。銀行株が冴えない中、ドル安観測により原油や金先物(2月限)等の商品市場が高騰し、その影響がうまく資源系セクターへも波及しているところにユーロの上値が重くなれば、同セクターでは利益確定売り優勢の展開となってもおかしくはないか。
ただ、ユーロが売られても、ドルが買われる地合いになるとは言い難い。
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB) 議長が6000億ドルを超える国債購入に言及したことから、米市場金利への低下圧力が再び強まるとの観測が市場で台頭しつつあり、それがドル売り圧力へつながる可能性も指摘されているからだ。実際、昨日の米10年債は3.00%割り込む展開となった。ドル相場との連動性が指摘されている米2年債も0.421%まで低下している。
これを受けユーロドルがボックス相場となればドル円も同様の展開となる可能性が出てくる。
為替市場が大きくドル高、もしくは円高へ振れることなく落ち着いた値動きを見せれば、日本225種の下支え要因となろう。目先10100-10200をレンジにもみ合う展開となるのではないか。
なお、12:30に豪準備銀行(RBA)が今年最後の政策金利と声明文を発表する。
先月の講演でスティーブンスRBA総裁は『金利設定は当面適切で、11月の理事会では利上げ先送りとの議論もあった』と述べていることから、市場予想は金利据え置きが大勢を占めている。発表直後は豪ドルで利益確定売り圧力が強まることも考えられるが、資源高による景気回復と安定した財務状況(昨日、格付け会社フィッチ・レーティングスはオーストラリアの格付けをAA+で据え置き、見通しは安定的と判断)を考えれば、引き続き根強い買いに下支えされる可能性の方が高いか。対ドルでは0.9850レベルを目先のサポートポイントに0.99台へしっかりとのせるかが注目される。ユーロドルでの上値が重くなっている分、豪ドルがリスクテイクのバロメーターとなり、欧州タイムに入る前までの為替市場を牽引する可能性があるためだ。