『夫を"稼げる男"に育成する賢妻術』も、いよいよ最終ラウンドに突入! 2回目の前回は、"癒し"と"活力注入"で、ストレスのない家庭環境をしつらえ、夫のエネルギーをチャージするというもの。最終回となる今回のテーマは、コミュニケーションの要である「会話術」だ。

家族の穏やかな笑顔と「お疲れ様」というねぎらいの言葉――。仕事を終えて帰宅する夫の心をほどくのは、そんな何気ない労わりだ。鎧を脱ぎ捨て、素の自分へと戻れる場所で、明日への力を蓄える。そのためには、ウイルスのごとく感染する"イライラ"や"ピリピリ"を、部屋から排除しておく必要がある。迎える妻も一旦手を止め、ゆっくりと深呼吸。体のなかからストレスを吐き出し、気持ちを整えておきたい……と、ここまでは前述の通り。

帰宅後、夫がひと段落してリラックス状態になったら、いよいよ次のステップへ。会話でコミュニケーションを取りながら、気力をアップさせていく。

そのために有効なのが、「ホメる」「同意する」ワード。"自分の存在や価値が認められている"と感じられれば、自信と気持ちの安定に繋がる。

「今さらホメるなんて、気恥ずかしくてムリ!」なんて声も聞こえてきそうだが、例えば、母親がわが子をホメる時に「恥ずかしい……」なんて思わないはず。「伸ばして育てる」が今回のミッションなのだから、大きな母性は不可欠。ここは、おおらかな母親のような気持ちで"ホメて"伸ばそう。 

ただし、やみくもに褒め倒せばいいのかというと、そうではない。特に猜疑心の強いタイプの場合、"下心がある?""操縦しようとしている?"と、逆に不信感を抱かせてしまう可能性も。夫の性格や状況に応じて、「感謝」「おだて」「励まし」など、褒め言葉を使い分けたい。思いつく"褒め"のバリエーションを、紙に書き出してみるのもひとつの手だ。

続いて、「同意」ワード。夫の感情に寄り添い、共感する。自分が発した言葉が、「なんで?」「違うんじゃない?」などの否定的な言葉で返ってくるのか、「大変だったね」「なるほどね……」といった共感のあいづちで返ってくるかによって、その後の距離感がまったく違う。

夫が感情をあらわしたら、共感しつつ、あいづちを打ちながら最後まで聞いてみる。いったんすべて吐き出すことでガス抜きできることはもちろん、冷静さを取り戻し、自ら解決法をみつける場合だって少なくない。話がひとしきり終わったら、「気持ちは分かるけど、私はこう思うよ」などと、やんわり意見を伝えたり、「なにかできることはある?」と、一緒に解決する姿勢を持つこと。強く頼もしい大きなクッション――。なかなか大変な役割だが、それができるのも一番近くにいる妻だからこそ。

逆に、避けるべきNGワードやアクションもある。それは、「比較」「上から目線」「さえぎり」「突き放し」の4点。確かに、自分がやられることを想定すると、なかなかフラストレーションが溜まる。

例えば「比較」。プライドを死守したい男性にとって、誰かと比較されることは最大級の屈辱だ。逆にいえば、それだけコンプレックスが強くナイーブな証。一度踏みにじられるとかなり根に持つことも多いので注意したい。

続いて「上から目線」。会社で上司に指示されて、家でも妻に指示されて……では、夫にとって、24時間緊張が解けないまま。おまけに、それに慣れて指示待ち体質になられても困る。よかれと思ってかけた"はっぱ"も、上から目線では、単なる"脅し"になりかねない。「しっかりね!」を使うなら、「頑張ろうね」と共同戦線を張りたいところ。

また、「会話のさえぎり」は、口達者な女性がつい陥りがちなワナ。夫の話を途中で遮って自分の話題にすり替えたり、相手の発言にかぶせたり……。無神経と受け取られ、コミュニケーションをブツリと切断してしまう。

そして、最後が「突き放し」。リストラに給料カットと、とかく先の見えづらい昨今。「頑張って!」とお尻を勢い任せに叩くだけでは、あまりに夫は孤独。夫婦で結束して前に進むんだという気持ちを見せるためにも、「共に頑張る姿勢」をアピールしたい。

家事や仕事、育児など、こなさなくてはいけないことが山積みになり、ストレスを抱えがちな妻たち。気持ちを穏やかに保って夫と向き合うことは、なかなかカンタンではないと思う。しかし相手は、この先遥かに続く道のりをともに過ごすパートナー。伸ばし、育成するのは、自分のための幸せ作りでもある。無理なく、ストレスのない範囲でゆっくりと前に進みたいもの。

幸せはやってくるものでも、一方的に貰うものでもなく、自分で"作る"。そんな覚悟を持っていれば、意識も変わり、言葉や行動も変わるはずだ。

実は、起業家や成功者と呼ばれる男性たちを取材する時、その人が気力に満ちているほど、相棒である「奥さん」がどんな人なのか気になり、つい話を振ることがある。すると必ずと言っていいほど出てくるのが「肝が据わってる」「度胸がある」といった賛辞。その後、頬を緩ませながら、ポツリと妻の話をするといったケースが実に多いのだ。覚悟を持って、人生をともに戦ってくれる同士のような妻こそ、最強の賢妻といえるのかもしれない。

一番近くで過ごしている妻だからこそ、できることがある――。

これは避けたい!タブ―ワード

■比較する

「○○さんの旦那さん、ボーナスがアップしたんだって。確かに、仕事ができる男って感じがするよね」
「隣の家、また海外いくらしいよ。旦那さんの稼ぎがいいんだね」

■上から目線

「もっとしっかりね!」
「これって普通、常識じゃない?」
「だから私が助言したのに……」
「ねえ、話の意味、分かってる?」

■会話を途中でさえぎる

「もう、そのハナシはいいから」
「わかったわかった。それより、今日私の~(と急に自分の話にすり替え)」
「(話の途中で)フウ……」(ため息)

■突き放し

「もっとがんばって貰わないと困るんだけど」
「我が家の幸せはアナタ次第なんだからね」