昨日の海外市場
G20を控えイベントリスク回避姿勢が強まったことにより、為替市場ではドルが急激に買い戻される展開となった。特にリスクに敏感な豪ドル/米ドルでは、0.97ミドルを割り込む場面も見られた。ユーロドルも1.40がサポートラインとして機能しきれず、再び1.39割れを試す展開へ。これを受け、円相場もリスク回避の円買い基調が強まった。
ドル高の影響は商品相場へも波及し、スポット金は1350をレジスタンスに1320割れ、原油先物(12月限)も終値ベースで約3週間ぶりの安値圏まで売り圧力が強まる等、軒並み反落。
一方株式市場は、好調な米企業決算がドル高の影響を相殺する展開へ。米重機メーカーのキャタピラー(CAT.N)が発表した第3四半期利益は、前年同期比で96%増益、通念見通しも上方修正したことで米株式市場は小幅ながら上昇。9月の景気先行指標総合指数が低下しなかったことで、米経済の先行き不透明感が後退したことも下支え要因となった。
本日の主要経済指標
・09:30 豪・3Q輸入物価指数
・09:30 豪・3Q輸出物価指数
・17:00 ドイツ・10月IFO景気動向
・20:00 カナダ・9月消費者物価指数
・21:30 カナダ・8月小売売上高
要人発言
・10:45 米国・ホーニグ・カンザスシティ連銀総裁の講演
・21:00 米国・プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁、規制改革について講演
アジア時間
欧米株式市場は小幅ながら上昇するも、今週末に韓国の慶州で開かれる20カ国/地域(G20)財務相/中央銀行総裁会議を前に、本日は株式、為替共に神経質な動きとなりそうだ。また、本日アジア時間では売買する材料に乏しいことも、投資家のリスク回避姿勢を強める可能性がある。
注目はやはり為替の動きだろう。今回のG20では、先進国と新興国の貿易摩擦を回避するために「通貨切り下げ戦争」を回避する声明を発表するとの思惑が市場で台頭し始めている。ただ、景気浮揚策のため一段の金融緩和を推し進める米英と中国をはじめとした新興国の間では為替政策を巡る駆け引きが激しさを増していることも事実。実際、昨日のガイトナー発言は、G20で人民元問題を話し合うためにユーロ諸国や日本を味方に引き入れたいとの考えがあったのでは、という声も聞かれる。
市場もイベントリスクに対して敏感に反応し、既にポジション調整のドル買いが始まっている。本日のアジア時間でも、豪ドルがどこまで下落するか注目したい。昨日欧米時間では0.9743まで下落したが、G20を意識した展開が強まれば0.97を割り込み、0.9663(10月19、20日安値)レベルまで再度反落する可能性も出てくるだろう。そうなればユーロドルも1.39はもちろんだが、1.38もしくは1.37トライの展開となってもおかしくはないか。
そしてリスク回避相場で最も買われ易い円も、クロス円を中心に買い圧力強まることが考えられる。特に、豪ドル円はテクニカル的にも上値を抑えられており、78.70(10月20日安値)をブレイクし、約1カ月ぶりの77円台へ突入する可能性も考えておいた方が良いか。そのような展開となれば、影響は円相場全体そして商品相場へと波及し、リスク資産を手仕舞う動きに拍車をかけるシナリオも浮上しよう。
また、円高の影響を受け日本225種も主力輸出関連を中心に軟調な地合いになる可能性も強まる。米企業の好決算受けた米株の堅調な値動きがどこまで材料視されるか気になるところではあるが、週末、しかもG20が開催されることを考えるなら、リスク資産ポジションを保有するのはリスクが高い。となれば、一度利益確定もしくはポジション調整に終始し、リスクイベント後の状況を見極める動きが強まるのではないか。