昨日の海外市場

欧米株式共に、ほぼ横ばいの状況。米小売売上高が2カ月連続のプラスだったことを受け、景気悲観論が後退し、投資家のリスク許容度が拡大した。セクター別では、強気の見通しを示した米小売大手や、金価格が上昇したことを受け、鉱山株が堅調だった。ただ、連日の続伸ということもあり、銀行株に利益確定売りが強まり、米株式は終盤に失速した。

一方、為替市場は、民主党代表戦で菅直人首相が再選を決めたことを受け、15年ぶりに83.00割れの展開へ。反面、ユーロは株式の底堅い展開が9月の独ZEW景況感の予想外に弱い内容(マイナス4.3)を相殺し、対ドルで心理的水準1.30越えを達成。終盤に売りが出たものの、商品価格の上昇により資源国通貨も対ドル、対円で堅調だった。

本日の主要経済指標

・09:30 豪・9月ウェストパック消費者信頼感指数

・10:30 豪・第2四半期新規住宅

・17:30 英国・8月失業率

・18:00 ユーロ圏・8月消費者物価指数

・20:00 米国・MBA住宅ローン申請指数

・21:30 米国・8月輸入物価指数

・21:30 米国・9月NY連銀製造業景気指数

・22:15 米国・8月鉱工業生産

・22:15 米国・8月設備稼働率

・23:30 米国・週間原油在庫

要人発言

・09:00 西村日銀副総裁の発言

・19:30 キングBOE(英中銀)総裁の発言

・24:00 レーンBOC(カナダ中銀)副総裁の発言

アジア時間

終盤に上値が抑えられた米株の影響がアジア株式へも波及し、利益確定売り優勢の展開となるか注目。ただ、中国経済がソフトランディングするとの観測も市場で台頭しており、下落幅は限られる可能性もある。

しかし、日本225種に限って言えば、83.00を割り込んだドル円の影響を受ける可能性が高いか。なぜなら、米債券利回りは、FRBによる追加の金融緩和策(国債購入)への思惑が強まり、短期、中期債ともに下落圧力が更に強まっているからだ。昨日の10年債利回りは2.70%を再び割り込む展開となれば、ドル相場との相関性が指摘されている2年債利回りも0.50%割れとなった。この状況を受け、今日もドル円に円高圧力が強まれば、日本225種は再び9000円割れを目指す展開もあり得るだろう。

ただ、クロス円、特にユーロ円や豪ドル円が堅調に推移しており、この動きがどこまでドル円の円高圧力を相殺できるか、この点にも注目したい。特に後者の豪ドルは、資源価格の堅調な値動きにより、対円で8月上旬以来となる79.00を目指す展開となっている。

欧米時間

本日も、マクロ経済指標を睨みながらの展開となりそうだ。欧州タイムでは、17:30に英国の失業率、18:00にユーロ圏の消費者物価指数が発表される。どちらも予想値は前回より改善もしくは上昇となっているが、株式市場では利益確定売りが出やすい地合いになりつつあるだけに、市場予想を下回るようならリスク回避が強まり、株とユーロが売られ、ドイツ国債や円買いの展開が強まる可能性がある。

NYタイムでも、重要指標が目白押しとなっている。その中でも注目は、21:30の9月NY連銀製造業景気指数だろう。フィラデルフィア地区連銀業況指数やISM製造業景気指数の先行指標として市場の注目度が高いだけでなく、構成項目の価格指数は、インフレ指標として関心を集める可能性もある。発表後、米市場金利へどのような影響を及ぼすか注視したい。状況次第では、ドル円が大きく動く可能性もある。

また、22:15の8月鉱工業生産と設備稼働率もポイントになりそうだ。雇用促進を牽引すると期待される米製造業の景況感で回復の兆しを示せれば、二番底懸念は更に後退する可能性が出てくる一方、失望売りを誘うような内容となれば、連日の利益確定売りの展開となるシナリオも浮上する。

ドル円 日足

米国SPX500種株価指数 日足