ニワンゴが運営する「ニコニコ動画(9)」のニコニコ生放送で放送中の生ラジオ番組『ニコラジ』が20日、渋谷スペイン坂スタジオで公開生放送を行なった。夏の暑さもなんのその。猛暑すら涼しく思えるほどの熱気を持ったニコラジリスナーが、ニコニコアーティストを一目見たさに渋谷に大集結した。
ニコニコ動画初の公式生ラジオ番組として今年4月にスタートしたニコラジ。ラジオ番組ながらもプロモーションビデオやイラストを視聴画面に表示するなど、画も楽しめる新感覚メディアとして注目を集めており、これまで最高視聴者数は4万人を超えるという驚異的な記録を打ち出している。そんな人気沸騰中にニコラジが、TOKYO FMとの合同イベントを開催。なんとあの渋谷スペイン坂スタジオで公開生放送を行うという。
渋谷スペイン坂スタジオといえばラジオっ子の聖地である。出演者を間近で見られるガラス張りの外観のため、人気アーティストの出演時には押すな押すなの大合唱、大行列ができるのをご存じの方は多いだろう。が、果たしてニコラジでも同様の現象が起こるのか。結果から言うと起こったわけだが、その模様をお伝えしよう。
ニコニコアーティストを一目見たさに大行列
生放送一時間前に到着すると、いきなり目に入ったのは公園通りまで達する大行列だ。そのほとんどは女性。約300人はいたであろう。聞けば先頭集団は朝6時頃から並んでいたとか。スタジオの場所はその名の通り、リア充が大手を振って闊歩する街・渋谷。もしかしたら「ひどく寂しい結果に終わるのでは」と一抹の不安があったが、どうやらまったくもって杞憂であったらしい。
お目当てとなったのはニコニコ動画で活躍中の歌い手たちだ。特別番組となった今回はゲストとして、ぽこた、らっぷびと、蛇足、野宮あゆみ、ゴールデンボンバーら、同じく渋谷のC.C.レモンホールで8月26日に開催される『ニコニコ大会議2010夏~笑顔のチカラ~』の出演者が大挙して参戦。彼らを生で一目見ようとこれだけの人数が集まったわけである。
そんな猛暑を超えるほどの観覧者たちの熱気を受け、午後3時を迎えたところ放送がスタート。こうした場に慣れていないからか、最初はいささか緊張気味のニコニコアーティストたちであったが、さすがに何度も巻き起こる「ん”き”ゃき”ゃ~~~~」「か”っこ”い”い”~~~~」という黄色い声援を聞いてはテンションを上げずにはいられなかったのだろう。次第にトークも滑らかに、観客に向かって手を振る余裕も。途中、番組アシスタントの百花繚乱氏によるC.C.レモンホールとの中継レポートが警備員に止められるというハプニングもあったが、それはそれでリスナーの笑いを誘い、全体的には大いに盛り上がったイベントであった。ネットでの視聴者数も普段とは違う昼間の時間帯に放送したにもかかわらず3万4,000人を超えたという。
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ひときわ歓声が大きかったニコニコ動画で人気のヴィジュアル系エアーバンド、ゴールデンボンバーの面々(彼らについては『ニコ動を賑わす実力派エアーバンド「ゴールデンボンバー」とはいったい!』参照) |
まさにネットラジオの勢いを感じた今回の公開生放送。その大成功に司会を担当するラジオDJのやまだひさし氏は、「実は僕はラジオの仕事でここ(スペイン坂スタジオ)でやるのは好きじゃなかった。ラジオを見ることができても意味がないから。だけどニコラジは画が見られるから意味があるよね。そこにコメントものっかるわけだし、iPhoneやパソコンを持って参加するとか、公開生放送ならではの新しい楽しみ方の可能性だって広がる。もしかしたら、こうした(公開生放送ができる)サテライトスタジオって、ネットラジオのためにあるんじゃないかと思ったくらい。今日はそういう手応えを感じた」とコメント。
ネットラジオと既存のラジオ局の垣根を越えて実現した初めてのイベントであったが、「面白いモノを人は選ぶ。当たり前になっちゃうんじゃないかな。あっという間に」(やまだ氏)とも。
なお、ニコラジは毎週月曜日~金曜日、夜22時から1時間に渡って生放送している。ラジオに訪れた新しいグルーブを聴き逃すな!