先週末のG8/G20自体は、玉虫色の決着となるも、各国がそれぞれの立場で自己主張をし、そう簡単に話がまとまらないことを改めて見せてしまったという感じがします。
今後も、G20を中心に会合の場が広がってくるかと思いますが、参加者が多ければ多いほど収拾がつきにくく、またそれぞれがリーダーシップを取りたがっている状態では、市場関係者としてはあまり突っ込んだ思惑は取りにくくなってしまうのではないでしょうか。しばらくは、それぞれのコメントが出てくるかもしれませんがG20に絡んだ話題は棚に上げておきましょう。
むしろ、注目しておくべきは、2013年までに各国が財政赤字を現状の半分にするステップ。日本は、特別扱い?という風にはなっていますが、各国がお互いの主張を出しながらも方向性として踏み出している中で、財政論議を棚上げにしてまで支出を増やせという国内の論調は、逆にマーケットとしてはネガティブな話題になってしまうかもしれません。
菅首相も帰国してからは参議院選挙に突入するとは思いますが、将来のビジョンとして消費税の論議も含めて財政の立て直しという点をどのようにアピールしていくのかが市場の注目になると思います。格付け機関においても見通しを示すことができなければ、2~3年のうちに格付け引き下げの危険をすでに指摘しています。市場というのは前倒しに材料を織り込んでくる傾向を考えますと、日本国債・円相場にも今後影響してくるでしょう。まずは、今週木曜日の日銀短観と、11日の参議院選挙の結果をにらんで日本のリーダーシップはどのような戦略を打ち出してくるのか……。
そして、欧州の波乱は落ち着いたと見る向きもあるようですが、CDS市場、LIBOR金利などを見る限り、しっかりとくすぶっている状態が窺えます。その上、7月に予定されているストレステストの結果とも合わせて各欧州系金融機関の増資の動きや、公的資金の注入のあり方・道筋など様々な思惑が継続されやすい環境。現状ではユーロの環境がそれほど改善されたとはまだ言えにくい状態でしょう。引き続き南欧諸国の話題には注意しておいた方がよさそうです。
そして、ユーロクロスからの圧力も高まりやすい環境になっている模様。ユーロ圏外における各国の対応(スイス・イギリス)に加え、なかなか反発力が鈍いユーロに対して、日本をはじめ欧州に対して輸出依存が高い企業にとっては為替ヘッジの興味は上値でかなり待ち構えている様子。日本においては木曜日に日銀短観が発表されますが、その中で示される想定為替レートがどのように変化し、各企業としてもどの水準まで変更してくるのかに注目しておきましょう。注目ポイントとしては、ユーロの対ドルの水準。最安値―最高値の半値が1.2130-35にあることから、再度割り込んだ場合には注意しておきたいです。
一方、欧州の混乱の影響は米経済にも多少なりとも出てきているのではないかと市場では警戒しています。ここ最近の米経済指標の内容を見る限り、目立った改善基調を見せているのは、注目されているいくつかの企業の売上・業績ぐらいで、全般的にはやや鈍化傾向ではないかということ。
労働環境・消費意欲において目立った改善を見せていないことからFOMCは 声明の中で長期間現状の金融政策が維持される見通しを示しました。それ以降、USD(米ドル)の地合いもやや不安定になってきています。
今週は米雇用統計を金曜日に控えて、いくつかの雇用関連の指数に注目が集まっており、雇用統計の予想は前月の反動からのマイナス予想とはなっているものの、思惑がさらに加速するのかどうかに注意しておきましょう。
また、金融規制法案が一本化されたことで、一番厳しい条件よりは緩和されたものの金融機関に対しては厳しい視線を受けることは必定で、欧州系金融機関同様にどの程度の自己資本増強及び審査基準を出してくるのかで株式市場に影響が出てくるかもしれません。
アジア時間においては、海外時間の流れを受けての調整局面で、中国側から新たな話題が出てこない限り、無風状態になってしまうのでしょうか。木曜日の日銀短観で動きが出てほしいものです。欧州勢参加時間帯から各国当局者のコメント及び経済指標に注目しておくというスタンスは維持しておきましょう。
為替市場においては、改めて不美人投票の展開になりそうで、クロス円を取引される方は、USD(米ドル)の話題で動いているときは、注意しておきたいので、NY経済発表時間に対するリスク管理はしておきましょう。
今週の主な予定
6月28日(月) |
---|
(日)5月商業販売統計 |
(ユーロ圏)5月M3 |
(米)5月個人所得・消費支出 |
(ユーロ圏)ウェーバーBUBA総裁 講演 |
(欧州)BIS年次総会 |
6月29日(火) |
---|
(日)5月有効求人倍率 |
(日)5月完全失業率 |
(日)5月家計調査 |
(日)5月鉱工業生産 確報 |
(ユーロ圏)6月景況感・業況感指数 |
(米)米週間レッドブック大規模小売店売上高 |
(米)4月S&Pケース・シラー住宅価格指数 |
(米)6月消費者信頼感指数 |
6月30日(水) |
---|
(ユーロ圏)6月独失業率 |
(英)第1・四半期経常収支 |
(英)第1・四半期GDP -確報値- |
(ユーロ圏)6月消費者物価指数 -速報値- |
(米)米住宅ローン・借換え申請指数 |
(米)6月ADP全米雇用報告 |
(米)6月シカゴ地区購買部協会景気指数 |
(米)ロックハート・アトランタ連銀総裁 講演 |
7月1日(木) |
---|
(日)6月日銀短観 |
(中)6月中国PMI |
(豪)5月豪小売売上高 |
(ユーロ圏)5月仏生産者物価指数 |
(ユーロ圏)6月製造業PMI -改定値- |
(米)新規失業保険申請件数 |
(米)5月建設支出 |
(米)6月ISM製造業景気指数 |
(米)5月住宅販売保留指数 |
7月2日(金) |
---|
(欧州)スウェーデン中銀 政策金利発表 |
(ユーロ圏)5月生産者物価指数 |
(ユーロ圏)5月失業率 |
(米)6月雇用統計 |
(米)5月製造業新規受注 |