5月1日より全国順次ロードショーされている『劇場版"文学少女"』だが、2010年6月3日(木)には、東京・池袋のシネ・リーヴル池袋にて、スタッフトークショーイベントの第2回目が開催された。前回は、『劇場版"文学少女"』の多田俊介監督ひとりでのイベントとなったが、今回は本作のアニメーション制作を担当したProduction I.Gから黒木類プロデューサーも参戦してのトークショーとなった。

トークショーイベントに登場した多田俊介監督(左)と黒木類プロデューサー(右)

現在、『劇場版"文学少女"』はDVDでリリースされる短編アニメとあわせての上映が行われているが、前回のイベントは衝撃の「美羽編」が上映された直後だったため、「ちょっと辛かった」という多田監督だが、今回は明るいテンションの「ななせ編」上映後ということもあり、「(会場に)気持ちよく入ってこれた(笑)」と笑顔を見せた。番外編となる短編アニメ3本は、映画本編とは異なるトーンで作られているが、中でも「ななせ編」は特に明るい雰囲気となっている。

MCから「多田監督は付き合うなら"ななせ"と言っていた」と暴露され、その理由を問われると「ルックスですね(笑)」と即答する多田監督。ちなみに、黒木プロデューサーの答えは「千愛」で、「ちっちゃいのに、言うことはけっこうひどかったりして、ちょっと面白い感じがする」のが理由と語る。イベントでは、「僕はプロポーションでは選んでいません!」という黒木プロデューサーに、「プロポーションとは一言も言っていません(笑)」と多田監督が反論する一幕も。

映画本編と短編3本は、ほぼ同時期に制作されていたため、「通常よりもかなり大変だった」という黒木プロデューサー。多田監督も「本編のコンテを書きながら、上がってきた短編のコンテを見て、そこからさらに本編に付け足す」といった作業があり、完成するまではかなりの手間と苦労があったという。なお、短編3本の中で、一番苦労したのは「美羽編」という黒木プロデューサー。「すごく暗いので、あのテンションを持続させたまま、暗めに落としていく作業が、楽しかったけれど、大変でした」(黒木プロデューサー)。

なお、「ななせ編」では、絵だけではなく、曲にもこだわったという多田監督。通常のTVシリーズだと、たくさん作られた曲の中から使用する楽曲を選ぶが、今回の劇場版と番外編では、それぞれの内容にあう曲を、その都度作曲していたとのことで、「作曲の伊藤(真澄)氏に微調整をお願いすることも何度かあったが、『ななせ』編では、唯一、リテイクをお願いした曲があった」というエピソードが紹介された。

また、短編3本には、劇場版とはちがったオープニングとエンディングが用意され、特にエンディングについては、各ヒロインごとにそれぞれ異なるものが使用されることが明らかにされた。また、オープニングについては、ちゃんと短編用の映像も用意されているとのことで、多田監督も「3本しかないのに、TVシリーズばりにちゃんと作っています」という自信作。こちらの内容については、6月25日からリリースが開始するDVDを注目しておきたい。

2回に渡って行われたスタッフトークショーだが、多田監督の生の声が聞けたとあって、来場者からの評判も上々。現状ではこの2回のみとなっているが、さらなる開催にも期待したいところである。



『劇場版"文学少女"』は、シネ・リーブル池袋ほかにて現在公開中。公開劇場などの詳細については、公式サイトなどをチェックしてみよう。

■『劇場版"文学少女"』おもなスタッフ
原作 / 野村美月「"文学少女"シリーズ」(エンターブレイン ファミ通文庫刊)◆原作イラスト / 竹岡美穂◆監督 / 多田俊介◆構成・脚本 / 山田由香◆キャラクターデザイン / 松本圭太◆音楽 / 伊藤真澄◆アニメーション制作 / Production I.G◆製作"文学少女"製作委員会

■『劇場版"文学少女"』おもなキャスト
天野遠子 / 花澤香菜◆井上心葉 / 入野自由◆琴吹ななせ / 水樹奈々◆櫻井流人 / 宮野真守◆芥川一詩 / 小野大輔◆姫倉麻貴 / 伊藤静◆竹田千愛 / 豊崎愛生◆森ちゃん / 下田麻美◆朝倉美羽 / 平野綾
(C)2009 Mizuki Nomura/PUBLISHED BY ENTERBRAIN, INC./ "文学少女" 製作委員会