FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。海外時間においては、アジア時間のRBA介入の噂や、各国当局者のユーロサポート発言などから、通貨・株式市場いずれにおいても週末前の神経質な展開の中、いったんは持ち直す展開となった。

欧州時間まではクロス円の売りがかなり優勢で、ファンド破綻の噂などが飛び交い、株式市場は下値を試す。市場の不安心理は依然高水準で、LIBOR金利は高止まりしており、VIX指数も依然40%を超えているものの、短期筋の買い戻しとマクロ系などの売り買いが交錯し、かなり荒っぽく上下動する展開。NY時間に入ってからは、為替・株式市場いずれにおいても断続的なショートカバーで持ち直す。

・N/A (中)米中戦略・経済対話(25日まで)

・13:30 (日)3月全産業活動指数

・14:00 (日)5月日銀金融経済月報

・23:00 (米4月米中古住宅販売

週を挟んでのポジション持ち越しは軽減されたものの、週末においては目立った改善材料もなく、市場の不安心理はまだ継続されやすいと思われる。VIX指数は依然高水準、銀行間取引の金利に対する懸念もあり、日米欧の市場への米ドル資金供給の姿勢が継続されている間は、金融市場における緊張感はまだくすぶっていると考えたほうが無難か。

ギリシャの話題から各金融機関及び各国の融資額に対する懸念が出てきており、南欧諸国に対してだけではなく、中東欧諸国にまで懸念が広まってくる可能性がある。また、南欧諸国においては中南米などに対する融資も多く、金融規制案ともからんで融資枠縮小ともなれば、新興国に対する懸念まで広まる可能性がある。

そして、アジアにおいては、やや材料視されにくかった北朝鮮話題。韓国哨戒船沈没事件に対し、韓国政府が強硬姿勢を示しており、当然北朝鮮は猛反発。ここまでは、いつものことだと片づけがちだが、本日から始まる米中戦略・経済対話ともからんで、北朝鮮が本気で強硬姿勢の行動を示した場合には、アジアからの資金逃避という可能性も出てこよう。

市場のセンチメントとしては、どの市場が有望かという視点よりは、逃避的なスタンスに傾斜しつつあり、その中でも顕著な現金化とい動きがさらに加速するのかどうかがポイントになる。

注目される銘柄としては、資源関連と金。長期にわたってロングポジションが構築されてきただけに、中長期ファンド筋がポジション縮小というスタンスにかじを切った場合には、金利差・現物の魅力というのは短期的には優位性が保てなくなる。 逆に考えれば、中長期ポジション構築のタイミングと捉えられる可能性もあるが、テクニカル的に調整ポイントを把握しておきたい。

AUDUSDでは2008年安値からの上昇は先週ちょうど38.2%ポイントで踏みとどまった。今後の話題次第だが、オーストラリア政府の超過利益に対する課税やアジア需要の見通し次第なので、再度割り込んだ場合にはかなり注意を要する展開になろう。

また、上記に示した現金化という展開が強まって場合には、利益確定の動きが加速しやすく、偏ったポジションの解消売りが入る可能性があり、ユーロではすでに一旦は2008年安値を割り込んでいることから、対ユーロのAUDではまだ38.2%のポイントまでさえも到達していない。

先週付けた1.54台後半を超えて1.55台上昇の場合には、AUDロングは警戒しておいた方がよさそうだ。