FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。主だった経済指標イベントがない中、コメント関連でレンジ内での動きとなった。リスク回避的な展開は欧州時間まではなく、株式市場も一時堅調に推移したことで、為替市場でも円売りがやや優勢となり、ドル円は93円のせ。
イギリスの政局については、ブラウン首相辞任という展開は織り込み済みで、保守・自民連立予想でのポンド買い戻しも一巡。
その後、トリシェECB総裁の強気のコメントが出るも、市場の疑心暗鬼の地合いは変わらずで、米株式市場が軟調に転じるとあっさりとユーロの反落。キャメロン保守党党首が新首相に任命されたことで(女王から)、EURGBPからの圧力もユーロの重しに。とはいえ、金融機関への融資額懸念、エネルギー・鉱山関連の下落によって軟調の展開から、株式市場がマイナス推移となっては、イギリスポンドも例外ではなく反落。ドル円はクロス円に阻まれ、92円台。
11:00 (韓)BOK 金融政策会議 政策金利発表 15:00 (ユーロ圏)第1・四半期独GDP -速報値- 15:45 (ユーロ圏)4月仏消費者物価指数 15:45 (ユーロ圏)3月仏経常収支 15:45 (ユーロ圏)第1・四半期仏GDP -速報値- 17:00 (英)4月失業率 18:00 (ユーロ圏)第1・四半期GDP -速報値- 18:00 (ユーロ圏)3月鉱工業生産 18:00 (米)MBA住宅ローン申請指数 18:30 (英)BOE四半期インフレ報告 21:30 (米)3月貿易収支 02:00 (米)財務省10年債入札 02:15 (米)ブラード・セントルイス地区連銀総裁 講演 03:00 (米)4月財政収支
市場においては、依然としてリスク回避的な志向はまだ濃厚のよう。EUなどからのギリシャ向け支援が週明けに確定したのもつかの間、いったんは落ち着いたVIX指数やCDS指数においてはじりじりと堅調(つまりは、リスクに敏感になっている)に推移していることや、好調な経済を背景にしたオーストラリアの予算発表や格付け機関からのコメントがあるも、AUDの堅調地合いも限定的。
今回のIMFへの要請も、今月のギリシャの国債償還に割り当てられ、当面の資金繰りを先延ばしにしただけの間では、市場参加者の懸念を拭うにはやはり不充分であろう。 また、他の南欧諸国においてもギリシャほどではないにせよ公的債務の削減を行うことから、融資残高が多い金融機関への警戒感はくすぶっている。
まだ、昨日FRB議長も米金融機関への影響を懸念しており(有力上院議員コメント)、日米欧の市場資金供給(ドル資金)に絡んだドルLIBOR金利の展開には注意しておいた方がよさそうだ。
本日は、主に欧州関連の経済イベントが予定されているが、各GDPの数値及び新政権が発足したばかりのイギリスのBOE四半期レポートでイギリスポンドに波乱が出てくるかどうかに注目したい。
新政権が発足したとはいえ、対GDP比率の赤字はギリシャ並みに拡大していることから、中央銀行とタイアップしてどのようなシナリオを市場は描いていくのかが話題になろう。 とはいえ、やはり市場の中心話題はギリシャおよび警戒される国々。ユーロにおいては、EUからのパッケージが示されるも、戻り場面では、ソブリン系ファンド、年金基金など中長期投資筋とおぼしき向きが売り手に回っている模様。
また、リーマンショック以前から積み上がっているキャリー解消の可能性も指摘され、一部ではその始まりであるユーロ円の100円以前の水準まで解消されるのではないかという警戒感もあるとか。
後者の視点はかなりアグレッシブな見方になるが、格付けの話題は現状では各国に対する話題にはなっているが、各金融機関に対する展開となれば、融資限度額が絞られることになり、その分のポジション解消のみならず、ファンド筋にも影響を及んでくる可能性が出てくる。ラストリゾート的に金が好感されているが、史上最高値を付けたという話題だけにとらわれないほうが無難かもしれない。
テクニカル的にも、ユーロ円は2000年からの上昇の61.8%ポイント(120.35 / 40水準)を再度割り込んでいることも警戒されているのかもしれない。
物価関連の経済指標が発表されてくる時期になるが、好調な経済環境の国以外では、ソブリンリスク・格付けリスクの話題で右往左往する展開はまだ継続されそうだ。