FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。週明けの市場は、週末の対ギリシャ(いや、対南欧?)ともいうべき救済案で、リスク回避ポジションの巻き戻し状態から、アジア時間からの地合いで株式市場は堅調に推移。

NY勢参入時間帯になってからはすでに先物市場で上昇していたことから、それ以上の上昇は織り込み済みで高値圏でのもみ合いとなった。リスクの度合いを測るVIX指数の大幅低下も株式市場におけるリスクテイクの動きを促した模様。

一方、為替の方では、ギリシャ向けのスタンスにおいてECBが方針転換するも、ユーロ各国内では一枚岩ではないようなコメントや、格付け機関のDowngradeコメントから、ユーロの反発は限定的で、じわじわと下値を切り下げる展開となった。また、政局不透明感からイギリスポンドも軟調に推移。BOE金融政策委員会の結果は事前予想通りで、材料視されず。

・15:00 (ユーロ圏)4月独消費者物価指数 -改定値-

・17:30 (英)3月鉱工業生産

・17:30 (英)3月製造業生産

・18:00 (豪)2010 / 11年度予算案

・21:20 (米)プロッサー・フィラデルフィア地区連銀総裁 講演

・21:30 (米)ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁 講演

・23:00 (米)3月卸売在庫

・02:00 (米)財務省3年債入札

HSチャート

ECB/IMF、そして日米の市場への資金供給策によって、株式市場は一時の安ど感があるような状態。

ただ、市場においては、支援策が策定されたとしても、実際の行動・各国の削減案の国内における法案の可決、さらには将来的には、その支援策に対する返済プランなど、いくつかの点で現状のややパニック的な展開が先送り・分散化しているだけと、依然懐疑的なスタンスは消えていない。

以前のアジアや中南米通貨危機においては各国が大幅な通貨切り下げという手法が使えたが、ユーロの参入している限り、この手は使えず、金融政策においてもECBに一元化されており、よほど思い切った構造・財政改革を伴わなければいけない。

しかし、ギリシャ国内の実情に加え、主だった産業も少ないギリシャにとってはかなり厳しい道のりなことは確かであろう。

もちろん、以前のギリシャ政権に対する批判等を繰り返すのは良いが、現状を乗り切らなければ、それどころではない。市場からの信用回復が見られるまでは、欧州株式市場における信用度においては、温度差が出てくるかもしれない。

その市場心理だが、本日発表される中国の貿易統計にアジア時間では注目しておきたい。新興国の中で、ブラジル・インドは政策金利を引き上げたが、中国は預金準備率の引き上げにとどめている。先月は赤字だったが、黒字に転じた場合には引き締め観測が高まってくる可能性があり、その場合にはリスク回避的な動きで中国の株式市場に影響が出てくるかどうかで、クロス円・株式市場の動意が出てくると思われる。HS市場で見る限り去年の高値からの38.2%ポイントを回復しているだけに、市場の警戒感がどうなるか、注意しておきたい。

為替市場では、やはりユーロとポンドの対ドルの展開には注意しておきたい。昨日の買い戻しの展開で、やや気迷い気分とも思われるが、ムーディーズのコメントを受けて、他の南欧諸国への波及という点でのリスク回避的な志向は後退しておらず、テクニカル的にも今年の下降チャネルは維持しており、昨日の高値及び1.32台回復となるまでは、下値模索の展開は維持されやすいと思われる。

イギリスポンドにおいても、自由民主党のクレッグ氏がどちらとの連立を模索しているのかが注目されているが、条件である選挙制度改革に関してどの程度の譲歩を第1党である保守党から引き出せるのか。また、財政政策においても、対GDP比ではギリシャ並みに拡大していることから、市場へのメッセージとして早期に政局安定を行う必要があり、遅れれば遅れるほど、ポンド売り圧力が高まってくる可能性がある。

ユーロチャート