FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。混迷の度合いを深めるギリシャ問題により、欧米市場はリスク回避一色の展開へ。大手格付け機関ムーディーズは、ポルトガルの格下げの可能性に言及したことから、ユーロドルは心理的ラインである1.30台を一気に割り込むと、更に下落スピードを加速させ、ネクストターゲットと思われた1.29のラインをも下抜けた。
これを受け、円相場もリスク回避の円買いが強まり、ユーロ円も心理的ラインである120円を下抜ける場面も見られた。一方、株式市場でも、金融株を中心に売り圧力が強まれば、エネルギーセクターでもメキシコ湾での原油流出事故の影響も重なり、上値の重い展開となった。結果、欧米の株価指数全体で軟調な地合いとなり、投資家の資金がドイツ短期債や米10年債へ流れる展開となった。
本日の主要経済指標
・07:45 NZ・1Q失業率
・07:45 NZ・1Q労働参加率
・10:30 豪・3月貿易収支
・10:30 豪・3月小売売上高
・10:30 豪・1Q小売売上高
・16:15 スイス・4月消費者物価指数
・17:30 英・4月PMIサービス業
・19:00 独・3月製造業受注
・20:45 ユーロ・ECB(欧州中央銀行)政策金利
・21:30 トリシェECB総裁記者会見
・21:30 加・3月住宅建設許可
・21:30 米・1Q非農業部門労働生産性(速報値)
・21:30 米・1Q単位労働費用(速報値)
・21:30 米・新規失業保険申請件数
・23:00 加・4月Ivey購買部協会指数
今週のギリシャ問題は、リスク回避で市場の意見が一致しているようだ。当事国のギリシャでは、政府による財政緊縮政策に抗議した民衆と警官隊が衝突し火災が発生。これにより3人の死者が出る等、混迷の度合いが一層深まっている。
これを受け独メルケル首相は、『ギリシャ問題で躓けば、他の財政赤字国へもその影響が波及しユーロの未来にもかかわる』と発言すれば、IMFストロスカーン専務理事も他の国へこの影響が及ぼす可能性に言及する等、具体的支援策の決定により一時終息感も出ていた市場では、再び苛烈な神経戦が繰り広げられている。
このためゴールデンウィーク明けの東京市場も、このギリシャ問題を背景としたリスク回避傾向が強まることにより、株式は上値が抑えられる可能性がある。
特に為替市場では円高が進行していることから、主力輸出関連セクターで上値が重くなれば、心理的ラインである11000円を割り込み下落スピードを加速させる展開も考えられよう。また、大手格付け機関フィッチが刑事訴追を理由に信用が棄損されるとの思惑から、米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N)の格付け見通しを『ネガティブ』へ引き下げたことも東京市場のみならず、アジア株式市場でのリスク回避を誘発する可能性もある。
一方、為替市場だが、本日のアジアンタイムで動くとすれば、07:45に発表される1QのNZ失業率と10:30発表予定の3月の豪貿易収支及び小売売上高か。
本日午前には、ブラードNZ中銀総裁が同国内の景気回復に自信を示したことからクロス円が反転する場面が見られた。失業率でもそのことを示す結果となれば、午前中のショートカバー要因となる可能性がある。
また、3月の豪小売にも注目だろう。5月4日の利上げにより、RBA(豪準備銀行)は平均的水準に達したとコメントしたことから、金融引き締めサイクルが一度終了し、数カ月の据え置き期間が置かれるのではとの見通しが市場で台頭している。しかし、同国内のインフレ圧力は他の先進国と比較し強く、直近のCPIも前期比で市場予想を上回っている。小売の結果如何ではそのインターバルが短くなるのではとの観測が浮上する可能性もある。仮に市場予想を上回る強い内容となれば、リスク回避を背景にオーバーシュート気味とも思える円相場での買い戻し要因となる可能性もあるため、オセアニア通貨の動向が午前中の円相場の流れに影響を与えるか注目したい。