「FT‐EU / GJ」はFX専用のシステムで、2009年12月の月次ランキングでは、1位と2位を独占した。EUはユーロ / ドル、GJはポンド / 円の通貨ペアを意味する。この他、EJ(ユーロ / 円)、GU(ポンド / ドル)の通貨ペアを用いたシステムも運用されている。

このうち、昨年12月末時点の月次ランキングで1位、2位を独占したのは、FT‐EUとFT‐EJだ。前者は80%の勝率で、月間の損益はプラス358・4ポイント。後者は勝率こそ40%と低いものの、124・8ポイントの利益を上げている。

同システムはFT‐CUBE社が開発したもので、最大の特徴はデジタル信号処理技術を応用した「サイクル分析」に基づいて、2つの通貨ペアの組み合わせによって売買を行うところにある。つまり、FT‐EU / GJは、ユーロ / ドルとポンド / 円の通貨ペアの組み合わせによって、トレードされる。

サイクル分析とは、デジタル信号処理技術をシステムトレードに応用することを提唱した、ジョン・エーラース氏が提唱した分析手法のこと。このシステムは、ジョン・エーラース氏が提唱しているサイクル分析のアルゴリズムを用いて、売買戦略を構築している。

具体的なロジックについては、ブラックボックスになっているが、基本的なシステムの考え方としては、上記のサイクル分析によって「持ち合い相場」を探知し、新しいトレンドが発生する瞬間を捉えてエントリーする。

持ち合い相場は、それに対応したレンジを伴って推移する。このレンジの幅を推定して、実際の為替レートが、このレンジの上限、および下限を超えた瞬間を、トレンド発生とみなしてポジションを取る。

そして、発生したトレンドが終わるまでポジションを持ち続ける。一度発生したトレンドは、どこかの段階で必ず終焉を迎える。つまり、価格の水準訂正を行うために、新たな持ち合い相場が出現する。こうした次のサイクルの発生を探知した瞬間、ポジションが手仕舞われる。言うなれば、トレンド・フォロー型のトレードシステムになっている。なお、異なる2つの通貨ペアに分散するのは、リスク分散を図り、収益を安定させるために行われる。

あくまでもトレンドの発生を捉えて動くシステムなので、そう頻繁にトレードを繰り返すわけではない。その分、トレンド発生時には大きく取っていこうという発想で運用されている。ちなみに、FT‐EJの場合で、年間の売買回数は70回程度だ。

ただし、トレンド・フォロー型のシステムであることから、マーケットがボックス圏で推移している時には、なかなか収益が上がらない。

この点が、同システムのデメリットだが、大きなトレンドが発生した時は、強みを発揮する。トレンド発生を捉えた後は、そのトレンドが終わるまでいっさい利益確定をしないからだ。

なお、同システムの販売価格は、30万円のものと50万円のものとがある。基本的に30万円のものは、1回のトレードで持てるポジションが10万ドルに制限されている。50万円のものは、この手の制約が一切無い。

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