インディーズ音楽の配信サイト「mF247」が3月25日に『mF247 Episode2』としてリニューアル。新たにニワンゴと業務提携し、音楽配信の舞台を「ニコニコ動画」へと移行して再始動した。同日、都内で記者発表会が開催。mF247の発起人である丸山茂雄氏や、またも"管理人"に就任したニワンゴ取締役の"ひろゆき"こと西村博之氏らが出席し、新サービスの内容と抱負を語った。

左から丸山氏、ひろゆき氏、ニワンゴ社長の杉本誠司氏、同取締役でシステムの開発を担当した木野瀬友人氏

経営難のmF247をひろゆきが落札、そしてEpisode2

mF247はEPICソニー創業者であり、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)社長を務めたこともある丸山茂雄氏が発起人となってスタートした音楽配信サイトだ。新人アーティストの発掘を目的に、審査に合格したアーティストの楽曲を著作権フリーで配信するサービスを展開していた。しかし、経営難のために昨年8月いっぱいでサービスを一時休止。運営権はYahoo!オークションに出品されることとなり、最終的に落札したのがひろゆき氏であった。それについて丸山氏は「これまでITの街のはずれのほうで地味に店を開いていた。自分としてはうまくいくだろうと思いはあったが、いかんせん人通りが少なかった。ひろゆきさんから声がかかったときは、賑わっているショッピングモールから誘われた感じ」だったという。

mF247 Episode2の発表会はニコニコ動画で生放送されたこともあって、参加アーティストであり、最初に審査を通過したというバンド「Lyu:Lyu」のライヴで開幕。その後、丸山氏とひろゆき氏、システム構築を担当した木野瀬友人氏によってサービスの詳細が語られた。

発表会場では最初にmF247 Episode2の審査を通過したバンド「Lyu:Lyu」がオープニングアクトとしてライヴ演奏

それによるとmF247 Episode2は以前のmF247同様にアーティストの楽曲をMP3で無料ダウンロードできることに加え、新たに開設されたニコニコ動画内の「mF247チャンネル」へと楽曲を移行。こちらでストリーミング配信される。アーティストがmF247 Episode2に楽曲を登録し、その楽曲が審査を通過すると、自動的にニコニコ動画で公開されるという仕組みだ。また、従来は参加費用としてアーティスト側に月額1万の料金が必要であったが、新サービスでは利用料金はすべて無料となる。

ひろゆき氏はニコニコ動画での生放送の視聴者に向けた「こんばんは」という紙を持参しての登場。風邪で声が枯れているらしく「(音楽の話をするのに)そもそも声が届かないってどうなのよ」と自虐ネタで笑いを誘った

ひろゆき氏は「僕なりに考えたmf247の失敗点はコストが高かったこと。今回はさくらインターネットの1万円のサーバーを2台借りただけ」なので、無料化が実現できたという。丸山氏は"失敗"というひろゆき氏に言葉に対し、苦笑したたものの無料化については「太っ腹。ハードルが下がった。いいことづくめ」と絶賛。これまで以上に「多くのアーティストが参加して欲しい」と抱負を語った。

収益モデルは検討中「アーティストが音楽で生活できるように」

今後のサービスの展開についてだが、丸山氏は「言いたくないけど失敗した。ということは、オヤジは口出さない方がいい」と語り、アーティストとの折衝や審査には携わっていくものの、運営はひろゆき氏側に一任する考えだという。これを受けてひろゆき氏は将来的にアーティストが音楽を作ることで生活できる仕組みを提案していくとのことで、「ドワンゴでの着うた配信をmF247経由で始めたい。物を売りやすい環境を目指す」とした。また収益モデルは現段階では検討中だが、「配信はニコニコ動画のサーバーを借り、ダウンロードはメールアドレスを入力することであえてハードルを上げ、負荷がかからないようにしている。コストがほどんどかかっていないので、それほど難しくはない」とのことだ。なお、権利の問題はこれまでどおり、アーティスト自身に任すことになるが、サービス上で日本音楽著作権協会(JASRAC)への手続きを行なうツールを提供するなど、その設定方法はフレキシブルに対応していくという。

「音楽配信サイトがニコニコ動画がどう関われるか、いろいろと実験的なことも試していきたい」とニワンゴ社長の杉本氏

「メジャーなサービスになったので、これまで様子見をしていたアーティストもぜひ参加して欲しい」と語る丸山氏

参加アーティストにとっては一定の評価を得ていたものの、インディーズという枠を超えることはできなかったmF247。だが今回、ネットユーザーから絶大な指示を受けるニコニコ動画へと舞台を移したことで、より大きなシーンへと広がる可能性が生まれた。実際、ひろゆき氏によれば「ボーカロイドの曲だからといって審査で落とすことはない」「エロい歌でも僕は取り上げたい」とのことなので、従来の参加者だけに留まらず、ニコニコ動画ならではアーティストの参加も増えていくことが予想される。あの“ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)"や"みっくみく"が自由にダウンロードできる日の近いのか。今後の展開に注目だ。

リニューアルした「mF247 Episode2」のサイトでは丸山氏とひろゆき氏の対談が掲載中

ニコニコ動画内の「mF247チャンネル」での楽曲配信画面。動画の上部に「この曲をダウンロード!」という項目が追加されているのがわかる