証券保管振替機構(ほふり)はこのほど、来年1月に予定されている株券の電子化を前に、3月末時点での同機構への株式の預託状況を発表した。個人が独自に自宅や貸金庫などに保管していると見られるいわゆる「たんす株」は、約130億株と推定されている。
調査によると、同機構への株式の預託率は83.5%。未預託の株式は625億株に上るという。このうち個人が所有するのは170億株で、保護預りや金融機関受入担保になっているものを差し引いた約130億株が「たんす株」と見られる。たんす株がまだ多く残る背景には「株券自体への愛着や何となく手元に置いたほうが安心という感覚、さらには証券会社に対する不信感などがあるのではないか」(証券業界関係者)という。
株券電子化実施にあたっては、預託されていない「たんす株」は株主名簿にある株主の名義での特別口座で管理されることとなり、売却する際に手間と時間を要するだけでなく、名義株主に勝手に売却されてしまうおそれもあるとのこと。これを防ぐには、証券保管振替機構に株券を預託しておけばよい。預託株については一斉に新たな制度に移行できるように措置されており、株主が特段手続きなどをしなくても電子化に移行できるという。
このため同機構では「株主の方々がこんなはずではなかったということにならないよう、今後も広告などで制度の認知度を上げるよう努めたい」としている。