米TORC Technologiesは、バージニア工科大学(Virginia Tech: Virginia Polytechnic Institute and State University)で自動操縦技術の研究開発を進めるVirginia Tech Unmanned Systems Group(USG)と提携し、世界初のロボットカー仕様のハイブリッドSUV「Ford Escape Hybrid」の提供を開始した。
新たに発売されたロボットSUVのFord Escape Hybridは、TORC Technologiesが独自に開発を進めた「TORC ByWire」技術に、緊急非常停止装置「SafeStop」を組み合わせたパッケージシステム「ByWire XGV」を搭載。アクセル、ブレーキ、ハンドル操作の自動化が実現するとされている。基本パッケージのByWire XGVには、目的地までのルートナビゲーション操縦を可能にする「AutonoNav」や、ワイヤレスマニュアル操作が可能になるハンドヘルドコントローラ「WaySight」を、オプションでセットできるようになっており、より実走行シーンでの活用スタイルに近づけることもできそうだ。
すでにTORC Technologiesは、Virginia Techの「VictorTango」チームへと正式に参加し、DARPA(Defense Advanced Research Project Agency: 国防高等研究計画局)が主催した、市街地で競い合う無人ロボットカーレース「Urban Grand Challenge」に参戦。昨年11月に行われた決勝レースでは、見事に3位に入賞して、50万ドルの賞金獲得に成功したとされる。
VictorTangoが、Urban Grand Challengeのレースカー「Odin」のベースに使用していたのが、今回発売されたロボットSUVと同じFord Escape Hybridであり、幾千回ものシミュレーション走行をクリアして、購入後すぐに高い完成度でテスト活用できるロボットハイブリッドカーの提供が、大きな意義を持つとアピールされている。
なお、Ford Escape Hybridは、現時点では広く市販されるというよりは、各研究機関やメーカーの開発チームなどに向けて提供し、さらなるロボットカーの実用化を目指す取り組みを支援するとの位置付けになっているという。また、ByWire XGVを始めとする、TORC Technologiesの各種開発技術を、外部の研究者の助けを得て、一層洗練されたものに仕上げていくことにもつながるとされている。