2018年2月14日~16日にかけて東京ビッグサイトにて開催されているナノテクノロジーの展示会「nano tech 2018 第17回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」において、物質・材料研究機構(NIMS)のブースでは、湿度計ならぬ湿潤を測り分けることが可能なモイスチャーセンサの紹介などを行っている。

湿度計にはさまざまな種類があるが、その多くは応答性が分単位以上と、その瞬間の正しい湿度を測定することが難しかった。また、部屋の窓は結露しているが、室内の湿度そのものは大気の雰囲気の影響から低い値が表示されている、といったことも起こりやすかった。

同センサは、微小な水の存在を0.02秒未満で検出することを可能とするもの。仕組みとしては、半導体プロセスなどを活用して、くし形の異種金属でできた2種類の電極を作成。その電極の間に水滴が付着することで、起電力が生じ、水分を検出するというものとなっている。検知可能な水滴のサイズは最小5μmから最大40μm程度で、結露で言えば、まだ目で見えない状態で結露が始まっていることを検知することができるという。

デモでは、冷蔵庫にデジタル湿度計とセンサチップを搭載した計測デバイスを設置。計測デバイスのデータは無線でPCに飛ばして、専用のソフトウェアで状況をモニタリングすることが可能で、扉を開けた瞬間など、ほぼリアルタイムで電流値が変化する様子などを見ることができた。

なお、すでに計測デバイスならびにソフトウェアはできあがっているとのことで、現在はNIMS発のベンチャー企業にて、これらの機器のレンタルや販売も行っており、想定市場である、美容や医療、衛生、食品、ロジスティックなどへのアプローチをする一方で、さらなる進化に向け、用途に応じた判定アルゴリズムの開発や、センサ周りの多様化の実現、センサの原理の完全な解明なども並行して進めていきたいとしている。

  • モイスチャーセンサのデモ
  • モイスチャーセンサのデモ
  • モイスチャーセンサのデモ
  • モイスチャーセンサのデモ。冷蔵庫内の緑色のモジュールが計測デバイス。取得データは即座にPCに送られ、状況が表示される。中央のモニタの画像は、一瞬電流値が上昇しているが、それは冷蔵庫の扉を開けたときの反応で、リアルタイム性が高いことがわかる