防災に特化した国産AI(人工知能)と災害デジタルツインを融合させ、AIを活用してハザード・リスクの予測や災害の影響からすばやく立ち直る対応策を考えるための基盤を提供する「ソフトバンク・東北大学 AI for Disaster Science共創研究所」が新設される。開設に先立ち、東北大学とソフトバンクが調印式を7月27日に開催した。

  • 東北大学とソフトバンクによる共創研究所の設立調印式の登壇者。(左から)ソフトバンク 次世代事業開発本部 本部長の淺沼邦光氏、ソフトバンク 常務執行役員の丹波廣寅氏、東北大学 副理事 産学連携担当の小田喜夫氏、東北大学災害科学国際研究所 所長の越村俊一教授

    東北大学とソフトバンクによる共創研究所の設立調印式の登壇者。(左から)ソフトバンク 次世代事業開発本部 本部長の淺沼邦光氏、ソフトバンク 常務執行役員の丹波廣寅氏、東北大学 副理事 産学連携担当の小田喜夫氏、東北大学災害科学国際研究所 所長の越村俊一教授

世界トップレベルの災害科学研究拠点として、防災・減災に関する実践的な研究を進める東北大学と、生成AIをはじめ最先端AI技術の研究開発・社会実装を推進しているソフトバンクが連携。東北大学災害科学国際研究所内に、新たな研究拠点を8月1日に設ける。

共創研究所の設置期間は2026年8月~2029年7月の3年間。運営総括責任者にはソフトバンク 次世代事業開発本部 本部長の淺沼邦光氏が、同大学の特任教授として着任。東北大学災害科学国際研究所の所長である越村俊一教授が、共創研究所の運営支援責任者に就く。

同研究所では、両者の知見や技術を基に、防災に特化した正確かつ信頼性の高い大規模言語モデル(LLM)や視覚言語モデル(VLM)、AIエージェントなどの防災AIの研究開発を進める。

防災や重要インフラに関わる判断基盤は国産AIで構築。災害時の判断に必要なデータを国内で安全に扱い、継続的に活用できるAI基盤となることをめざす。

  • ソフトバンクによる国産AIの災害活用イメージ

    ソフトバンクによる国産AIの災害活用イメージ

  • ソフトバンク・東北大学 AI for Disaster Science共創研究所の設立のねらい

    ソフトバンク・東北大学 AI for Disaster Science共創研究所の設立のねらい

具体的には、過去の災害記録や対応記録、失敗・教訓を学習した防災特化AIと、地球観測や社会動態のデータ、物理シミュレーションを組み合わせた「災害デジタルツイン」を“記号接地”によって融合。

これにより、地震や津波、洪水、火山災害などといった多様かつ複合的なハザード・リスクの予測や、社会の脆弱性と社会基盤が弱い部分に関する言語解説、被害を軽減して災害の影響から素早く立ち直るための対応・適応策に関する仮説生成・検証が行える基盤の研究開発を進める。

両者はこの基盤を「AI for Disaster Science基盤」(AI4DS基盤)と呼称しており、その研究開発・社会実装を推進。2026年度中に実施予定の実証実験では、自治体や行政機関などと連携し、地震や津波、火山災害などを想定した状況で、AI4DS基盤の有効性を検証することにしている。

  • AI for Disaster Science基盤の概要

    AI for Disaster Science基盤の概要

  • 現場での活用イメージ

    現場での活用イメージ

将来的には、政府や自治体、大学・研究機関、民間事業者などへの提供を通して、共創研究所をAI4DS基盤の共同利用・共同研究の拠点へと発展させる方針だ。

そのために、新たな災害データや事例を継続学習することで自律的に成長する、マルチモーダルAI基盤(異なる種類の情報をまとめて扱えるAI基盤)の研究開発および社会実装を加速させ、防災分野におけるAI活用のエコシステムを構築。国内外の防災・減災に寄与する基盤へと発展させ、災害に強い社会の実現をめざすとしている。

  • 研究成果の現場活用イメージ(将来的な活用イメージを含む)

    研究成果の現場活用イメージ(将来的な活用イメージを含む)