ロケットの打ち上げ見学に行くのは、もちろんロケットの打ち上げを見ることが目的である。ロケットの打ち上げには、画面越しには決して伝わらない迫力があり、生で見るのは大変貴重な経験になるからだ。しかし、それと同じくらい、いつも筆者が楽しみにしているのは、現地の雰囲気を味わうことである。

  • 打ち上げの見学場には、今回もさまざまな屋台が出ていた

    打ち上げの見学場には、今回もさまざまな屋台が出ていた

現地の人と触れあったり、いろいろなものを見たり。ロケットに便乗(?)した名物を食べたり、お土産を買ったりするのも楽しい。この現地取材最後のレポートでは、そういった地元・肝付町の様子についてお伝えしたい。

今回もさまざまな限定グッズが発売

新しい記念撮影スポットとして紹介したいのは、2017年末、肝付町の入口に設置されたイプシロンのモニュメントだ。これはイプシロンを製造しているIHIエアロスペースが寄贈したもので、スケールは2.5分の1。実物は約26mだから、このモニュメントの高さは10m強だろうか。射場まではまだ30km近くあるのだが、最初に訪れれば気分も盛り上がる。

  • 第2段にダブルアローが描かれているので、デザインは2号機のようだ

    第2段にダブルアローが描かれているので、デザインは2号機のようだ

  • 見学者用に、モニュメントの前後2カ所に駐車スペースが用意されている

    見学者用に、モニュメントの前後2カ所に駐車スペースが用意されている

設置場所はコチラ

肝付町役場の内之浦総合支所には、イプシロンの紹介コーナーが設けられている。イプシロンに関する最新の解説ポスターが展示されていたほか、グッズの簡単な販売コーナーもあるので、時間があれば足を運んでみると良いだろう。

  • 内之浦総合支所のイプシロン紹介コーナー。展示がアップデートされている

    内之浦総合支所のイプシロン紹介コーナー。展示がアップデートされている

見学場で打ち上げを待つ間の楽しみは、食べ物やグッズを販売している出店だ。見学場の中で唯一、射点を直接見ることができる宮原(みやばる)ロケット見学場は、プレスサイトのすぐそばにあるので、今回も、撮影の準備をしてから訪れてみた。

  • プレスサイトから見た宮原ロケット見学場(朝3時頃に撮影)

    プレスサイトから見た宮原ロケット見学場(朝3時頃に撮影)

  • 宮原の見学席の様子。寒いので、外で待つのは結構辛い

    宮原の見学席の様子。寒いので、外で待つのは結構辛い

イプシロン3号機は、打ち上げ時刻が早朝の6時過ぎ。見学者はその3時間以上も前から現地入りするため、過去2機に比べ、スケジュールはハードだ。九州の最南端とはいえ、真冬の深夜は寒い。待ち時間中には、バスの中で休憩している人も多かった。しかし、そんな厳しい条件の中でも、いくつものブースが頑張って出店していた。

  • 打ち上げ後に販売するという謎な売り方をしていた「ロケットエッグ」。果たして売れたのだろうか…

    打ち上げ後に販売するという謎な売り方をしていた「ロケットエッグ」。果たして売れたのだろうか…

  • お土産としては定番の焼酎の販売も。イプシロンや、はやぶさのデザインが描かれている

    お土産としては定番の焼酎の販売も。イプシロンや、はやぶさのデザインが描かれている

  • 前回に引き続き登場の「イカシロン」

    前回に引き続き登場の「イカシロン」。イカは冬しか捕れないため、期間限定のレア商品だ

  • 1本300円の串焼きイカシロンは完売だったため、お土産用パックを1本200円でバラ売りしていた

    1本300円の串焼きイカシロンは完売だったため、お土産用パックを1本200円でバラ売りしていた

  • このマフラータオルは、肝付町観光協会のオリジナル商品。3号機の夜明けの発射をイメージしたという

    このマフラータオルは、肝付町観光協会のオリジナル商品。3号機の夜明けの発射をイメージしたという

  • このラバーコースターもオリジナルの限定グッズ

    このラバーコースターもオリジナルの限定グッズ。歴代ロケットと、34mパラボラアンテナが描かれている

  • イプシロン3号機のTシャツとトートバッグも。2号機のときはブラックだったが、今回のはネイビー

    イプシロン3号機のTシャツとトートバッグも。2号機のときはブラックだったが、今回のはネイビー

  • ロケットに比べ、やや地味な扱いだった搭載衛星「ASNARO-2」のペーパーコースター。衛星側のグッズは結構レア

    ロケットに比べ、やや地味な扱いだった搭載衛星「ASNARO-2」のペーパーコースター。衛星側のグッズは結構レア

  • 宇宙かふぇのブース。子供向けや宇宙ファン向けではなく、より一般向けの商品を取り扱うという

    宇宙かふぇのブース。子供向けや宇宙ファン向けではなく、より一般向けの商品を取り扱うという

  • 「宇宙の香り」として販売されていたギ酸エチルベースのアロマオイル。開発には半年以上かかったそう

    「宇宙の香り」として販売されていたギ酸エチルベースのアロマオイル。開発には半年以上かかったそう

公式見学場は3カ所、どう違う?

イプシロン3号機の打ち上げにおいて、肝付町が一般向けに設定した見学場は、宮原ロケット見学場、内之浦漁港、岸良海岸の3カ所。前述のように、宮原以外からは射点が直接見えないものの、打ち上げられたら数秒で見える。山から飛び出すロケットも面白そうなので、筆者は機会があれば一度、ほかの見学場からも見学したいと思っている。

肝付町によれば、今回の見学者数は、宮原が約480名、内之浦漁港が約1,400名、岸良海岸が約140名、その他が約300名。深夜から待機する必要があり、子供連れのファミリー層には来づらい時間帯の打ち上げだったが、合計約2,300名ものファンが訪れたようだ。

このうち、宮原への入場については、2号機に引き続き、ツアーのみに制限する対応が取られた。これは、マイカーが主体だった初号機の打ち上げで、道路が大混雑してしまった経緯から導入された対策だ。宮原で見学するためには、鹿児島中央駅、霧島温泉、肝付町の3カ所から出発するツアー(5,300円~6,800円)に申し込む必要がある。

ツアーの定員は約2,000名だが、1月9日に締め切った3次募集でも空きがあり、申し込んだ人はもれなく当選したようだ。お金はややかかるものの、見たい人が確実に見ることができる宮原。家族連れでも気軽に来やすい内之浦漁港。好みによって選べるのは良いと思う。

ただ、約850台が駐車できる内之浦漁港も、打ち上げの30分前くらいには満車になってしまったようだ。打ち上げ直前に到着して、別の駐車場まで移動するのは避けたいところ。そうならないよう、余裕を持って行動して欲しい。

参考:3号機に関する見学情報

今回は深夜~早朝のイベントとなったため、内之浦漁港での音響が通常通り使用できないなど、町も対策には苦労したようだ。しかし大変な早朝打ち上げのおかげで、稀に見る美しさの打ち上げを楽しむことができた。苦労して見に行った甲斐があったと思った人も多いだろう。

なお、2018年度はイプシロン4号機の打ち上げが予定されているが、対応は未定。町は「打ち上げ時期が決まれば対応を考えたい」としている。見学を考えているのであれば、随時WEBサイトを確認するなどして情報を収集して欲しい。