ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回と次回の2回に分けて、2017年1~6月の半年分をば。
なお、天文現象を1年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ここではとても書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、この記事の最後にまとめておきましたので、参考にしてくださいませー。
1月~2月
冬の空は明るい星が多く、すごく見ごたえします。ってのは昨年も書いていますなー。これは毎年同じなのです。冬は星がきれい。テッパンでございます。
が、今年はこれに、ぬあんと、最強の輝き、夕方の金星が加わるのですよ!(机ドン)。金星を見つけるのは、スゲーかんたんでございます。夕方、太陽が沈んだら、西~南の空をみて「うわ、あれなんだ、ミョーに明るい星があるぞ」、それが金星です。いや、これ、12月の時点でもすでに見えてますからね。1月の記事と思わず、ぜひチェックしてほしいのでございます。なお、金星は夕方に見えて、夜中には見えなくなっています。夜9時とか10時はダメですよ。日が沈んだらすぐにさがしてみてくださいませ。
なお、1月2日は金星と四日月が接近して、なかなかの見物でございます。ちな、3月になると急速に太陽に接近して、見えにくくなるのですよ。「2017年の金星は、夕方ならば、寒いうちにみよ!」これが基本です。なお2018年になると、これが夏頃によく見えるようになるので、金星は油断ならないですな。
それから、彗星の話題があります。映画『君の名は。』では彗星の地球衝突が登場しましたが、2月11日に、本田・ムルコス・バジュサコバ彗星が、太陽と地球の距離の1/10以下まで接近します。kmに直すと、1000万kmチョイで、月の40万kmに比べればずっと遠いのですが、地球に接近しても6000万kmの火星よりは近いというところ。この彗星は名前のとおり、日本人の本田実さんが発見者の一人です。わずか5.26年の周期で太陽を回っている特殊な彗星でございます。ただ、肉眼での観察はちと難しいですね。マニアは喜ぶけど、シロウトにはさっぱりという感じでございます。
一方、宇宙開発関係はどんなもんでしょうか。ここでは宇宙や地球の研究に関係しそうなものをひろってみます。
1月11日には、SS-520という日本の小型ロケットが鹿児島県の肝付町から打ち上げられます。SS-520は、観測ロケットで、宇宙空間まで到達して観測をして落ちるというものです。今回はこれを人工衛星の打ち上げロケットに応用するという話でございます。重さ数キロ程度のちっちゃな人工衛星を安く打ち上げることができるのではということで、期待されておりますな。でも、小さい衛星か、見えるかなー。大きさは2リットルのペットボトルくらいでございますよ。
1月にはインドも動きます。PSLVというロケットで地球観測衛星を打ち上げるのだそうです。
1月28日にはロシアがカノープスという地球観測衛星を打ち上げます。また、太陽探査衛星のZondもあわせて打ち上げられます。ロシアが太陽観測か-。
さらに中国が2017年の早い時期に、X線天文衛星を打ち上げる予定なんですな。X線天文衛星は、日本のお家芸といわれているジャンルですが、昨年打ち上げ後に新品の衛星が空中分解してしまい、現在新規の研究データがとれなくなっています。研究は国際的なものですが、中国と共同するのでしょうかね。
しかし、調べていて思ったのですが、民間のロケット打ち上げは多いわ、中国だけでなく台湾やらインドやらいろんな国が科学探査衛星あげるわで、フォローがもう困難なくらい。宇宙探査が日常になっております。
ということで、3月以降は次回に続きます。以下は天文情報に特化した、年鑑類でございます。
天文情報に特化した年鑑類一覧
書名 | 特徴 | 価格 |
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天文手帳 | 手のひらサイズの手帳に、小さな字で毎日の月の出入り時刻や見所など星空情報がぎっしり。ミニ星座早見もついています | 980円+税 |
天文年鑑 | 天文年鑑のスタンダード。星空情報のほか、各種のデータが豊富。天体観測を趣味とする人向けの編集。ハンディサイズ | 1000円+税 |
藤井旭の天文年鑑 | 天文年鑑の初心者向けバージョン。毎月の星空情報を中心に、観測のしかたなども紹介。ハンディサイズ | 800 円+税 |
ASTROGUIDE星空年鑑 | DVDビデオ・PC&マック用ソフト付きのムック、大判かつカラー版。登録をするとタブレットなどで見られる毎月の星空紹介ページももらえる | 2700円(税込) |
天体観測手帳 | 基本は手帳で、それに天体観測のためのデータとガイドが載っている。カラー図をたくさんという体裁。小型望遠鏡までで見やすい現象、トピックが紹介されている | 1280円+税 |
太陽・月・星のこよみ | 大判の月めくりのカレンダー。毎日の月の形や、天体現象などが記載。大手書店のカレンダーコーナーや科学博物館のショップなどにもあることあり | 1400円(税込) |
著者プロフィール
東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。