第468回で、表面塗装にリブレット加工を施すことで抵抗低減を、ひいては燃費の低減を図る、日本航空の取り組みを紹介した。一方、米空軍では空力デバイスによって燃費低減を図る取り組みをしているので、そちらも紹介してみたい。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照。
塵も積もれば大山となる
だいぶ前の話になるが、「アメリカ4軍(陸海空軍と海兵隊)の中で、もっとも燃料費がかかっているのは空軍である」と知って、びっくり仰天したことがあった(ちょっと記憶があやふやなところがあって、燃料費ではなくて燃料消費量であったかもしれない)。
多数の車両を走らせている陸軍や、大きな艦艇を世界各地で航行させている海軍の方が上かと思ったら、違うのだ。しかし冷静に考えれば、「グローバル・リーチ」のために大型の輸送機をたくさん飛ばしているのだから、さもありなん。
しかも価格ベースで考えると、陸軍の車両や海軍の艦艇が使用している軽油より、空軍の航空機が使用するジェット燃料の方が単価が高い。これもまた、燃料費を押し上げる一因になると思われる。
裏を返せば、その「グローバル・リーチ」を支える輸送機群が使用する燃料を節減することで、大きなメリットにつながることになる。数が多いから、塵も積もれば大山となろう。
そう考えたのか、米空軍で輸送機戦力を所掌している航空機動軍団(AMC : Air Mobility Command)は米空軍研究所(AFRL : Air Force Research Laboratory)と組んで、C-17Aの燃費低減に関する取り組みを進めているそうだ。