この半導体ニュースのまとめ

・日米両政府が数兆円規模の米国半導体工場投資について実務者協議を開始へ
・工場運営はGlobalFoundriesが担い、成熟・特殊プロセスの供給拠点となる可能性
・日本政府は製造装置・材料の納入など、日本企業のサプライチェーン参画を求める見通し

日米両政府が米国における数兆円規模の半導体工場投資案件について実務者協議を進めていると一部のメディアが伝えている。実際の工場運営は米GlobalFoundries(GF)が担当する見込みであるという。

米トランプ大統領は日米関税交渉で両政府が合意した日本による5500億ドル規模の対米投資の一環であると説明している。日本による対米投資はすでに2回に分けて具体的な案件が確定しているが、いずれもエネルギーインフラ関連であった。今回、第3弾として半導体工場への投資が具現化すればハイテク分野として初の事例となる。

投資方法については、投資先は米大統領が選定し、日本側が指定された口座にドル建ての即時利用可能な資金を拠出するものになると定められている。合意当時、米ラトニック商務長官はテレビのインタビューで「例えば、トランプ大統領が米国での半導体工場建設を決めたとして、それに仮に1000億ドルの投資が必要となる場合、日本側がその全額を負担し、その事業から生じる利益の9割は米国、1割は日本に分配することになる」と述べていた

これが実際に実行に移されるようである。投資回収の見通しなどに関してすでに日米間で協議に入っているという。

現時点では、投資額、プロセス技術、立地などの詳細は協議段階にあり、最終的に決まったことはないという。トランプ政権は、米国内半導体製造拡大の基本方針に基づき、新半導体製造工場を日米貿易協定により日本側が投資金額を全額負担する案件に選んだようである。

米国政府はGFの成熟プロセスによる量産を支援か?

新工場の運営は、米国最大のファウンドリであるGFが担うことがほぼ確実なようである。

同社は2009年にAMDの製造部門が分離独立する形で設立されたファウンドリで、本社および主力工場を米ニューヨーク州マルタに置く。米連邦政府認定の「トラステッド・ファウンドリ(米国政府にとって機密性のある半導体を製造委託できる信頼できる工場)」でもあり、2023年には米国防総省と10年間におよぶ契約を結んでいる。

ただしIntelやTSMC、Samsungなどの先端ファウンドリとは異なり、2018年以降10nmを切るような微細プロセスの開発をやめ、FD-SOIやRF-SOI、SiGeなどの差別化技術に注力しており、もし同社が新工場を運営することになれば、その位置づけは、成熟プロセスや特殊プロセス(車載、RF、フォトニクスなど)の供給拠点となることが想像される。

すでに米国政府はTSMCやSamsungなどの先端プロセス工場を米国に誘致済みで、国内のIntelやMicron Technologyにも多額の支援を行ってきており、今後は成熟・特殊プロセスの生産能力の拡大に注力したいようである。

日本政府は、日本企業が米国における半導体サプライチェーンに主要メンバーとして入り込み、半導体の製造・搬送装置や材料などといった工場運営に不可欠な製品の納入や米国法人を構える日本企業への半導体優先供給などのインセンティブを求めているとみられる。

9月22日(米国時間)に行われた日米首脳会談にて、人工知能(AI)や半導体、重要鉱物など経済安全保障分野での協力を強化し、日米同盟をさらなる高みに引き上げていくことで高市首相とトランプ大統領の意見が一致したと伝えられている。トランプ大統領が決め、日本側が全額負担する米国内の半導体工場投資案件の進展が日本の半導体製造装置・材料メーカーの好機につながるかが注目される。