この半導体ニュースのまとめ
・imecが100GHzの帯域幅と5V動作を両立したGe/Siアバランシェフォトダイオードを開発
・受信感度を3dB改善し、APD受信機を用いた光リンクで正味400Gbpsのデータ受信を実証
・レーザーの消費電力削減や光損失への対応力を高め、AIデータセンター向けに展開へ
imecは9月21日、スペインで開催された欧州光通信会議(ECOC)において、OバンドとCバンドの両帯域にわたる100GHzの帯域幅、5Vという低電圧動作、1.8A/Wの応答性を兼ね備えたGe/Siアバランシェフォトダイオード(APD)を発表した。
また、受信感度を3dB向上させたこのデバイスを用い、APD受信機を採用した光リンクとして正味400Gbpsのデータ受信を実証したことも発表した。これらの成果は、AIデータセンター向け次世代光インターコネクトに向けた重要な一歩となるとimecは主張している。
AIデータセンターでは、膨大な量のデータをこれまで以上に高速かつ高エネルギー効率で交換する必要があり、ラック間やブレードサーバ間で大量のデータを低遅延かつ高速なデータ転送速度で伝送できる光リンクの実現が求められている。imecでも、次世代光インターコネクト向けに、高速変調器や光検出器など、重要なシリコンフォトニクス構成要素を開発することで、こうしたニーズに応えてきたという。
すでに2025年のECOCにてimecは、110GHzを超えるCバンドGe/Si電気吸収変調器(EAM)を報告し、将来の短距離・スケールアップ光リンクの送信側の方向性を示していたが、受信側では、高い受信感度を維持しながら、より高い帯域幅での動作を実現するという課題があった。APDは、内蔵された信号増幅機能により受信感度が向上するため有望な解決策とされるが、従来はその増幅を実現するには、帯域幅の縮小や動作電圧の上昇、またはその両方が課題となっていた。
APDを用いた400Gbps光リンクを実証
imecの光インターコネクト研究開発担当副社長であるヨリス・ヴァン・カンペンハウト氏は、「定評のあるSACM(吸収、電荷、増倍を分離する)APDアーキテクチャをベースにデバイスを再設計した。増倍層の幅を100nm以下に縮小し、深くへこんだゲルマニウム・イン・シリコン構造を活用して、電荷層を排除することで、100GHzの帯域幅、5V動作、1.8A/Wの応答性の同時実現を果たしつつ、内部ゲインを約2倍にすることができた」と述べている。
この技術のシステムレベルでの可能性を示すことを目的に、imecでは2025年に開発した110GHzを超すCバンドGe/Si EAMと新開発のAPDを組み合わせることで400Gbps光リンクの実証に成功したとする。
同氏はこの成果について「APDは受信感度を3dB向上させ、従来のフォトダイオードに比べてリンクマージンを拡大できた。システム要件に応じて、このマージンを利用してレーザーの消費電力を削減したり、より大きな光損失に対応したりできる。高い帯域幅と低い動作電圧と相まって、このデバイスは将来のスケールアップ光インターコネクトにとって魅力的なものとなる」と述べている。
今後、imecは、より広い温度範囲と光入力電力条件下におけるAPDの信頼性向上に注力していく予定としているほか、より包括的な光インターコネクトソリューションの一環として、APDと高速受信エレクトロニクスとの統合にも取り組んでいくとしている。また、imecの300mmシリコンフォトニクス(iSiPP300)プラットフォームを活用し、技術の成熟化と、将来のAIインフラストラクチャが直面する帯域幅とエネルギー効率の課題解決に役立つ光インターコネクト技術の普及促進を図っていくともしている。
