この半導体ニュースのまとめ
・IC-Link by imecがTSMCのOIP Cloud Allianceに参加し、両社の協業を拡大
・TSMCの先端プロセス向けPDKや計算資源をセキュアなクラウド環境で提供
・複数のEDAベンダに対応し、新興企業や研究機関の設計から量産までを支援
ベルギーimecが展開するASICおよびシリコンフォトニクス向け設計・製造サービス事業「IC-Link by imec」とTSMCは9月23日、先端プロセスを用いた半導体設計へのアクセスを簡素化するため、協業を拡大すると発表した。
IC-LinkはTSMCの「Open Innovation Platform(OIP) Cloud Alliance」に参加し、複数のパートナーが提供するEDAツールを組み合わせた設計フローに対応するマネージドクラウドサービスプロバイダとなる。
AIや通信、自動車、産業機器向けの先端半導体開発では、大規模なコンピューティングリソースに加え、プロセス設計キット(PDK)やEDAツール、設計インフラ、セキュリティの確保が必要となる。設計環境の構築と維持に要する費用や人員は、新興半導体企業や研究機関が先端プロセスを利用する際の障壁となってきた。
セキュアなクラウド環境でTSMCのPDKを提供
IC-Linkのクラウドサービスでは、顧客が管理された環境からTSMCの先端プロセス向けPDKへアクセスできるほか、チップ開発のワークロードに応じて拡張可能なコンピューティングリソースを利用できる。
設計環境は特定のEDAベンダに限定せず、顧客が保有するツールチェーンやライセンスを組み合わせた柔軟な設計フローに対応する。IC-Linkがセキュアなホスティングやインフラ管理、設計リソースを提供することで、顧客は開発環境を自ら構築・維持する負担を減らし、チップの設計と製品開発に集中できる。
TSMCの先端プロセスと設計エコシステムに、IC-Linkが持つ設計支援や製造サービスの知見を組み合わせ、半導体の構想から設計、製造までの期間短縮につなげる狙いがある。
先端パッケージを含む協業を拡大
IC-Linkは2007年からTSMCのDesign Center Alliance、2009年からValue Chain Allianceに参加しており、近年は2.5D・3D実装などを対象とする3DFabric Allianceにも加わった。
今回のOIP Cloud Allianceへの参加により、先端プロセスや先端パッケージング技術を利用する顧客に対し、新たにクラウドベースの設計インフラと技術支援を提供する。
IC-Link by imecのASICサービス担当VPのPierre Blondeau氏は、先端技術へのアクセスに、安全なクラウド環境、マルチパートナーEDAフロー、専門家による支援を組み合わせることで、顧客の設計上の複雑さを軽減し、開発サイクルを短縮できると説明している。
研究開発から量産までをつなぐ役割を強化
先端プロセスを用いたチップ開発には、多額の設計費用と専門知識が必要となる。クラウド上で計算資源や設計環境を必要に応じて利用できれば、大規模なインフラを持たない新興企業や研究機関も、先端半導体の開発へ参入しやすくなる。
imecは先端半導体の要素技術を研究し、EUの支援を受けて運営するNanoICパイロットラインで試作環境を整備している。IC-Linkは研究成果や設計を量産へつなぐ役割を担い、TSMCの製造技術へのアクセスを提供する。
今回の協業拡大によって、imecによる要素技術開発、NanoICでの試作、IC-Linkによる設計・製造支援、TSMCでの量産を結ぶエコシステムが明確になる。imecは、IC-Linkを半導体イノベーションと製造の橋渡し役として強化し、欧州をはじめとする新興半導体企業や研究機関の先端チップ開発を支援していくとしている。