Neowinは8月5日(米国時間)、「Windows 11 could soon get significantly faster with Microsoft's new performance tools - Neowin」において、Microsoftが開発者向けに新しいパフォーマンス分析ツール「Event Tracing for Windows(ETW) MCP」および「Windows Performance Analyzer(WPA) MCP」を発表したと伝えた。
「ETW MCP」「WPA MCP」の特徴とは
Windowsには組み込みの分析方法として、イベントトレースログ(ETL: Event Trace Log)ファイルを分析する手法がある。Windows Performance Analyzer(以下、WPA)を使用してETLファイルを分析する作業だが、通常は専門知識と多大な労力が必要とされ、経験のない開発者は途方に暮れる可能性がある。
この問題を解決するツールが「ETW MCP」および「WPA MCP」だ。GitHub CopilotをはじめとするMCP互換のAIアシスタントがETLファイルを読み取り、クエリーを実行して推論を応答する。両者ともに基本的な仕組みは共通で、前者は後者のヘッドレス(UIなし)版だ。
ETW MCPの利用には、MCP設定ファイルの調整が必要。VS CodeやGitHub Copilot CLIに設定を追加し、ETW MCPサーバーに接続できるようにする。GitHub MCPレジストリーへのワンクリック登録機能は、近日中の対応が予定される。
WPA MCPはGitHub Copilot CLIをWPAに統合する構成だ。現在公開中のバージョンでは、GitHub Copilot以外のAIアシスタント、モデルプロバイダー、MCPクライアントはサポートされないため、GitHub Copilotサブスクリプションが必須となる。
WPAの操作に慣れているユーザーや、専用のGUIツールを必要とするユーザーはWPA MCPが利用できる。VS Codeをはじめとする統合開発環境(IDE)への統合や、それ以外の利用形態(スクリプトなど)を求める場合はETW MCPが選択肢となる。
WinUI移行を後押しする狙い
Microsoftがこうしたツールを投入した背景には、Windowsアプリのパフォーマンス改善を目的としたWinUIへの移行推進があるとみられる。
Microsoftは現在、Windows 11の改善計画に基づき標準インタフェースをWinUIに移行する取り組みを進めている。この取り組みは外部の開発者にも推奨されており、新規開発はもちろんのこと既存アプリに対してもWinUIへの移行を求めている。
この移行はアプリのパフォーマンスを改善し、応答性およびリソース消費を削減する目的で行われる。そのため、実際の開発では移行の前後でどの程度改善したか、比較評価する必要がある。
今回公開した分析ツールは、こうした性能評価を効率化することを狙ったものだ。AIを活用して従来は困難だったボトルネックの特定などを容易にし、開発者の負担軽減とWinUIへの移行促進につなげたい考えとみられる。
プレビュー版をリリース
ETW MCP(プレビュー)は、NuGetパッケージ「NuGet Gallery | Microsoft.Windows.EventTracing.MCP 0.7.23」として公開。WPA MCPはMicrosoft Storeの「Windows Performance Analyzer (Preview)」をインストールし、WPAウィンドウ右上のGitHub Copilotボタンから利用を開始する。
これらツールの応答には誤りが含まれる可能性がある。そのためMicrosoftは最終診断に利用せず、初期分析やガイダンスとして活用し、応答に不安がある場合は追加の質問および調査が必要と述べている。この点については軽減策が示され、同社は追加調査を行う際に「証拠を見せてください」と質問することで、AI自身に検証させることが可能と説明している。
MicrosoftはETW MCPとWPA MCPについて、それぞれ主要機能や設定方法、利用例を紹介した公式ブログを公開している。
ETC MCPについては「Introducing the ETW MCP: AI-assisted ETL trace analysis, headless and in your terminal - Performance and Diagnostics」、また、WPA MCPについては「Introducing WPA MCP: Early Preview of AI-assisted trace analysis in Windows Performance Analyzer - Performance and Diagnostics」で説明している。
