この半導体ニュースのまとめ

・キオクシアが第10世代BiCS FLASH技術採用のエンタープライズSSDを開発
・従来シリーズ比でシーケンシャルリードで最大約92%、ランダムリードで最大約85%の性能向上を実現
・限定顧客向けにサンプル出荷を開始

第10世代BiCS FLASH採用エンタープライズSSDのサンプル出荷を開始

キオクシアは7月30日、第10世代BiCS FLASH TLC NANDフラッシュメモリ技術を活用したエンタープライズSSD「KIOXIA CM10シリーズ」を開発したことを発表した。すでに限定顧客向けにサンプル出荷を開始済みとしているが、これらのサンプルは機能評価用という位置づけで、量産時と仕様が異なる可能性があるという。

  • 「KIOXIA CM10シリーズ」

    第10世代BiCS FLASH TLCフラッシュメモリ搭載のエンタープライズSSD「KIOXIA CM10シリーズ」 (出所:キオクシア)

AI推論やコンテキストキャッシュなど、高い性能が求められるエンタープライズおよびAIワークロード向けに設計されており、KVキャッシュをGPUメモリからストレージ層に効率的に退避・共有し、スループットと電力効率を高めることができる「NVIDIA CMXコンテキストメモリストレージアーキテクチャ」に対応する。

キオクシア初のPCIe 6.0対応エンタープライズSSD

同シリーズは、同社初のPCIe 6.0対応エンタープライズSSDで、空冷のほか、コールドプレートによる直接液冷(DLC:Direct Liquid Cooling)方式に対応。次世代AIインフラにおける効率的な冷却システム構築を可能とするほか、前世代のKIOXIA CM9シリーズと比べて、シーケンシャルリードで最大約92%、ランダムリードで最大約85%の性能向上を実現したという。

332層化でビット密度を59%向上

第10世代BiCS FLASHでは、積層数を332層に増やしたほか、平面方向の高密度化も進めた。これにより、ビット密度は第8世代比で59%向上したとしている。

3次元NANDでは、積層数を増やすことで記憶容量を拡大できる一方、セルアレイの高さが増すことで、製造難易度や電気特性、読み書き性能、消費電力への影響も大きくなる。そのため、単純に層数を増やすだけでなく、周辺回路やセル構造、配線、電力効率を含めた最適化が重要になる。

今回の第10世代製品は、積層数増加と平面方向の高密度化を組み合わせることで、AIデータセンター向けSSDで求められる大容量化に対応したという。

複数のフォームファクターを用意

提供フォームファクターは、E3.S、E1.S、および2.5インチで、E3.SおよびE1.S 9.5mmフォームファクターでは空冷に加えて液冷にも対応する。

容量は1.60TBから61.44TB(フォームファクターにより異なる)で、耐久性はリードインテンシブ(1DWPD)およびミックスユース(3DWPD)としている。

また、SIE、SED、FIPS SED(FIPS 140-3対応予定)のオプションモデルを用意しており、SPDM v1.4やCNSA 2.0に準拠した耐量子計算機暗号をサポートしているという。

なお、同シリーズは、2026年8月4日から6日まで米国カリフォルニア州サンタクララで開催される「The Future of Memory and Storage(FMS)」にて展示される予定だという。