この半導体ニュースのまとめ

・VicroがTECHNO-FRONTIER 2026に出展
・日本の車載部品メーカーと共同開発した400V-800V 150kW 昇圧コンバータと400V-12V 4kW DC-DCコンバータのプロトタイプを公開
・航空宇宙・防衛向けのVITA 62準拠コンバータも展示

日本の車載部品パートナーと協力して800Vソリューションを開発

2026年7月15日から17日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「TECHNO-FRONTIER 2026」。その構成展の1つである「第41回 電源システム展」において、Vicorはさまざまな48V電力供給ソリューションに加え、日本の車載部品メーカーと共同開発した800Vアーキテクチャに対応する電力供給ソリューションの展示などを行っている。

  • Vicorブースの様子

    TECHNO-FRONTIER 2026におけるVicorブースの様子。ひっきりなしに来場者がブースの同社社員に質問をしている姿が見受けられた

今回、同社ブースで展示されている800V電力供給ソリューションは大きく3点。そのうちの1つは、自社開発の800V-48V/12V車載DC-DCユニット試作機「Paladin(パラディン)」。800Vの入力電圧を48Vもしくは12V(あるいは12Vと48Vの混合)の出力電圧(定格出力は48V出力時で2.4kW、12V出力時で1.4kW)を94%の効率(100%負荷時)で提供するプラットフォームで、275mm×155mm×27.3mmというコンパクトなサイズながら高電圧からSELV(Safety Extra-Low Voltage、人体が触れても危険がないレベルの低電圧)への変換を行うための2つの高電圧変換ステージと、PRMレギュレータ/DCM DC-DCコンバータを利用できる2つの交換可能な低電圧ポジションで構成されたモジュラー方式とすることで、さまざまな設計ニーズに対応することができるという。

  • 「Paladin(パラディン)」

    Vicor独自開発の800V-48V/12V車載DC-DCユニット試作機「Paladin(パラディン)」。詳細な概要については、同社の技術ブログを参照してもらえればと思うが、800Vの入力電圧を48Vもしくは12Vの出力電圧に手軽に変換できるモジュールとなる

残り2つは、国内の車載部品メーカーと、来るべき800Vアーキテクチャを採用した電気自動車(EV)への対応に向けたプロトタイプ(試作品)。1つ目は、400V-800V 150kW 昇圧コンバータのプロトタイプ。400Vで入力された電圧を800Vに昇圧する2倍昇圧DC-DCコンバータで、EVに搭載された電池電圧が800Vであっても、日本の急速充電器は400Vまでのことが多く、そうした場合に車両の充電コネクタ後段に設置されたこの昇圧コンバータを活用することで充電器から入力される400Vを車両の800Vバッテリにあるように変換することを可能とするものとなる。変換効率は98%で、EMIフィルタや通信・制御回路も内蔵しているという。

2つ目は、400V-12V 4kW DC-DCコンバータのプロトタイプ。400Vのバッテリから直接12Vのバスを形成することを目的としたもので、入力電圧は400V(280~410V)、出力電圧は14V(8.0~16V)、出力電力は最大で4kW、320A、変換効率は4kWで92%、2kWで93%としている。

この3つの800Vソリューションにより、柔軟に800V、400V、48V、12Vに対するニーズに対応できる体制が日本で整ったとのことで、積極的な日本での800V対応に向けたアプローチを行っていきたいとしていた。

なお、2種類のプロトタイプについては、撮影の許可が下りなかったため、どういった形状や仕様なのかは、実際に同社のブースに行ってその目で確かめてもらえればと思う。また、その詳細については会期最終日の7月17日に開催される同社の出展社セミナーにて解説を行う予定だとしているので、興味があり時間があるのであれば、そちらに参加するのもありだろう。ただし、セミナーについては完全事前登録制であり、登録人数にも限りがあるということで聴講できない可能性もあるとのことであった。

目前に迫る48V時代への対応を加速

このほか、同社ブースでは48Vニーズに対応するDC-DCコンバータをはじめとする48V電力供給ネットワーク(PDN)の最適化を可能とする電源モジュール製品群や、防衛・航空宇宙分野で用いられるOpenVPXシステム向けに電源モジュールの物理サイズ、コネクタ、ピン配置や電気特性を標準化したVITA 62に準拠した電源(コンバータ)などの展示も行われている。

  • 電力供給ネットワーク全体に対応するソリューションを展開

    ブースの壁面には48Vが中心となって800V、400V、12V、3.3V、1V以下の電圧にコンバート可能な意味を記したイラストが描かれており、同社が電力供給ネットワーク全体に対応するソリューションを展開していることを強調していた

  • VITA 62準拠コンバータ

    VITA 62準拠コンバータ。3U Open VPXシステム用に設計されたMIL-COTS電源で、堅牢で伝導冷却仕様により入力電圧28Vまたは270V、出力電圧3.3V~12V、最大出力600Wに対応する。また、出力電圧や電力については顧客の仕様に合わせてカスタマイズすることも可能だという

適用アプリケーションの範囲も、HPC/データセンター、産業機器、ロボティクス、航空宇宙・防衛などと幅広く、さまざまな産業分野の電力供給ニーズに対して、高い電力密度と革新的なアーキテクチャに基づくDC-DCコンバータとレギュレータを活用することで、高効率、小型、軽量、そしてモジュール構成によるフレキシビリティとスケーラビリティを提供していきたいとしていた。

  • 幅広く対応可能なソリューションを紹介
  • 幅広く対応可能なソリューションを紹介
  • さまざまなアプリケーションや産業からの電力供給ニーズに幅広く対応可能なソリューションを紹介していた