この半導体ニュースのまとめ

・住友大阪セメントが千葉県市川市の市川事業所に静電チャックの新製造棟を竣工
・半導体製造装置向け静電チャックの生産能力を従来比約2倍に増強し、安定供給体制を強化
・SiCナノ粒子を用いたナノ複合化セラミックス技術を活用し、先端半導体向け需要の取り込みを目指す

市川事業所に静電チャック新製造棟を竣工

住友大阪セメントは7月9日、千葉県市川市の市川事業所において、半導体製造装置の主要部品である静電チャックの新製造棟を竣工し、同日に竣工式を執り行ったことを発表した。

新製造棟は、DXや生成AIなどの普及に伴うデータ取扱量の増大を背景に、今後も拡大が見込まれる半導体需要に対応するための生産能力増強投資の一環として建設されたもの。これにより、同社の静電チャックの生産能力は従来比で約2倍に拡大する。

  • 新製造棟の外観

    新製造棟の外観 (出所:住友大阪セメント)

新製造棟は2023年7月より建設が進められてきたもので、竣工日は2026年7月9日。所在地は市川事業所内で、延床面積は約1万m2としている。

真空プロセスでウェハを固定する半導体製造装置の主要部品

静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)は、半導体製造の真空プロセスにおいて、静電気力を用いてシリコンウェハを固定する半導体製造装置の部品の1つ。エッチング装置などの半導体製造装置で用いられ、ウェハを高精度に保持しながらプロセスを安定させるために重要な役割を担う。

  • 静電チャック

    住友大阪セメントが手掛ける静電チャック (出所:住友大阪セメント)

半導体デバイスの微細化や高性能化が進む中、製造装置に求められるプロセス精度も高まっている。特に先端半導体の製造では、ウェハ保持の安定性や耐電圧性、熱的・機械的な信頼性が製造品質に影響するため、静電チャックにも高い性能が求められている。

SiCナノ粒子を用いたナノ複合化セラミックスが強み

住友大阪セメントの静電チャックは、同社がセメント事業で培ってきた無機材料技術の知見を応用して自社開発したSiCナノ粒子を用いる点を特徴とする。

同社によると、このSiCナノ粒子を用いたナノ複合化セラミックスにより、吸着力と耐電圧に優れた静電チャックを実現しているという。これまで、最先端半導体で求められるシリコンウェハのエッチング性能向上に貢献してきたとしている。

今回の新製造棟では、設備の増強に加え、自動化設備や生産管理システムなど最新鋭の技術を導入することで、生産性の向上と、さらなる高品質要求に対応できる体制を構築した。

高機能品事業本部を新設、半導体製造装置向け製品を強化

住友大阪セメントは、中長期ビジョン「SOC Vision2035」のもと、事業ポートフォリオ変革の一環として高機能品事業の拡大を掲げている。2026年4月1日には新たに高機能品事業本部を立ち上げ、組織体制を強化した。

今回の静電チャック新製造棟の建設は、そうした高機能品事業拡大の基盤となる取り組みと位置付けられる。同社としては、足元の半導体市場成長に伴って増加する顧客需要を確実に取り込むとともに、半導体製造装置向け製品分野で新製品を含めたさらなる成長を目指す考えだ。

AIサーバやデータセンター向け半導体、先端ロジック、メモリなどの需要拡大に伴い、半導体製造装置とその構成部品の重要性も高まっている。住友大阪セメントとしては、無機材料技術を起点とした静電チャックの供給能力を高めることで、先端半導体製造を支える部材メーカーとしての存在感を強めたい考えとみられる。