夏になるとアオコが発生してよどむ皇居外濠(そとぼり)の水質改善を目指し、東京都は外濠を玉川上水や荒川とつないで濠の水の入れ替えを促す「外濠浄化に向けた実施計画」を策定した。地下に新たな管路を整備するなどして2030年代半ばに外濠への導水を始め、江戸時代に見られた水の流れを取り戻すことを目指す。
外濠は江戸城外堀として、慶長9(1604)年から寛永13(1636)年にかけて構築された。現在は、JR市ヶ谷駅や飯田橋駅などの近くに水路が残っている。もともとの外濠は、自然地形の谷などを利用している上に、四谷見附あたりまで整備された玉川上水があったことから、上水や湧水、雨水などを受け入れて下流に流す構造だった。
しかし、現在の外濠は濠への流水量が少なく、水が滞留しやすい。そのため、水温上昇や窒素やリンなどの増加による富栄養化といった条件が重なるとアオコが大量に発生し、緑の藻で水面が濁ることがある。
東京都は2017年に濠や池などの水辺再生を計画的に進めることを公表し、22年に「外濠浄化に向けた基本計画」を策定。26年3月に公表した実施計画によると、340億円の整備費用で管路の新設や更新などを行う。玉川上水の終点である四谷大木戸から内径180センチの地下導水路を約2キロにわたり新設し、市ヶ谷濠に水を流し入れる。
濠の水の滞留時間が5日を超えるとアオコが大量発生する恐れがあるとされる。シミュレーションをすると、毎秒500リットルの導水があれば、下流の新見附濠・牛込濠を合わせた3濠の水が概ね5日で入れ替わるという。計画では玉川上水に多摩川の下水再生水を同150リットル、荒川の河川水を同350リットル送り込む。
ただ、導水を開始する予定の2030年代までにも夏場はアオコの発生の恐れがある。このため、千代田区が毎年夏にむけて天然鉱物由来の処理剤を外濠にまくという暫定対策を実施している。

千代田区の水質改善暫定対策。外濠に多孔性の天然鉱物由来の処理剤ルミライトをまいている。アオコはルミライトに吸着し、光が届かない水底へ沈む(6月8日、東京都千代田区九段北4丁目)
現在は導水管工事などを設計している段階。都の担当者は「玉川上水や荒川から外濠、神田川、日本橋川、隅田川を経て水が東京湾へ至る、『水の都』東京を現代の技術をもってよみがえらせ、歴史的財産である外濠や下流の川の水質を改善したい」と話している。
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