NECは5月11日、大容量で扱いが難しい3D点群データを、軽量かつ高精細な3Dデータへ変換する技術を開発したと発表した。独自AIとガウシアン・スプラッティングを活用し、4.4GBの点群データを0.3GBまで軽量化できるという。

ガウシアン・スプラッティングは、少ないデータ量でも高精細な3D表示を可能にする技術として、映像分野などで注目されている。

NECは、2027年度中にこの技術の実用化を目指す方針。

  • 従来の3D点群データと同技術を用いた3Dデータの比較

    従来の3D点群データと同技術を用いた3Dデータの比較

NECの新技術で何が変わる?

今回発表された技術は、都市道路のような広範囲な地形や大規模構造物の3D点群データを変換し、タブレットや一般的なパソコン上でリアルタイムかつ現実に近く、形状や見た目を直感的に把握できる画像で表示することを可能とする。

また、自治体やエネルギー業界、高速道路事業者をはじめとするインフラ事業者など、現場作業が発生するさまざまな顧客において、デジタルツインの導入をより容易にするという。

インフラ老朽化や人手不足が進む中、現場へ赴かずに点検・計測を行えるデジタルツイン技術への期待が高まっている。

これにより、点検・計測業務のリモート化を可能とし、問題の早期発見や、遠隔からの判断や意思決定を通じた現場対応の効率化と、現場作業者や監督者を含むステークホルダー間での迅速な合意形成を支援し、人材不足の解消に寄与するとともに、防災やまちづくりのDX推進を後押ししていくという。

  • デジタルツイン導入前後の比較

    デジタルツイン導入前後の比較

軽量化しても高精細を維持できる理由

技術の特徴としては「高精細な表示品質により、監督者が現場に赴かずに判断可能」という点が挙げられている。

従来の大容量3D点群データでは、画面上で拡大表示した際、建築物や機器の文字など細部が現実と乖離して表示されることがあり、ユーザーの意思決定が難しいケースがあったのに対し、この技術では、現場における機材や設備の形状や配置、外観を高精細に表示できるため、監督者が足を運ぶことなく遠隔から多地点を管理したり、リモートで点検・判断することが可能となる。

変換後の3Dデータは、軽量化による形状の歪みも抑えられる。構造物のボルトなど細かな凹凸も正確に表現できるため、リモート計測にも活用できる。

さらに「3Dデータを90%軽量化し、タブレットでも快適に閲覧・共有可能」という特徴も挙げられる。

この技術は、元となる点群データを90%軽量化することが可能で、例えば、4.4GBの3D点群データを0.3GBの3Dデータに変換できる。

これにより、表示速度が大幅に向上し、タブレットや一般的なパソコンなどの環境でのスムーズな閲覧や共有を可能になることで、ステークホルダー間での報告や合意形成を迅速化できるという。

  • 変換前後の3Dデータ比較

    変換前後の3Dデータ比較

また「膨大な現場画像データの準備が不要」という点も特徴の1つ。

この技術は、NEC独自のAIを用いることで、点群3Dデータから様々な位置のシミュレーション画像を自動生成することが可能。そのため、一般的なガウシアン・スプラッティング技術で必要となる膨大な現場画像データを新たに用意する必要がなく、既存の3D点群データのみで利用できるという。