外光の映り込みを大幅に抑えながらエネルギー効率を高め、“紙の印刷物のような表示”を特徴とする超低反射ディスプレイを、東北大学やシャープディスプレイテクノロジー、日亜化学工業による研究グループが開発。長時間使用でも目が疲れにくく、高い視認性と正確な情報認識が求められる自動車用や医療用といったディスプレイへの応用が期待されている。

  • 今回、3者が開発したディスプレイの表示例。照度3,000ルクスの照明下(屋外に近い明るい環境)で撮影したもの 出所:東北大ニュースリリース

    今回、3者が開発したディスプレイの表示例。照度3,000ルクスの照明下(屋外に近い明るい環境)で撮影したもの 出所:東北大ニュースリリース

東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻の石鍋隆宏教授らと、シャープディスプレイテクノロジー、日亜化学工業の共同研究成果。米国ロサンゼルスコンベンションセンターで現地時間5月6日に開催される学会「Society for Information Display International Symposium DISPLAY WEEK」において、招待講演として発表される予定だという。

研究成果のポイント

  • 外光の映り込みを大幅に抑えた超低反射ディスプレイを、東北大やシャープ、日亜化学による研究グループが開発
  • 幅広い環境で高い視認性、長時間の使用でも目が疲れにくい表示を追求
  • 紙の印刷物のような表示画面、人に優しいヒューマンマシンインタフェースを提案
  • 自動車用や医療用など、高い視認性と情報の正確な認識が求められるディスプレイへの応用に期待

背景と課題

ディスプレイデバイスは屋外など明るい環境で使われることも多い。そのさい、外光がディスプレイ表面で反射して映り込むことで、情報を正確に読み取りにくくなるという課題がある。また自動車や医療向けのディスプレイなどの分野では、環境の明るさに左右されず、高い視認性を保つ情報表示技術が求められている。

映り込みの課題に対しては、ディスプレイ表面に屈折率の異なる層をいくつも積層して外光反射を抑えるAR(Anti-Reflection)コーティングや、表面に微細な凹凸構造を設けて光を拡散・乱反射させることで映り込みにくくするアンチグレア(Anti-Glare:AG) コーティングが既に実用化されている。

しかし、これらの手法は光の入射角度による性能変化が大きく、十分には反射を抑えられないという課題が残されていた。

開発技術のポイント

研究グループが今回開発した、外光の映り込みが生じない超低反射ディスプレイでは、「表面の超微細構造の工夫」と「構成材料の屈折率の最適化」といった取り組みを行った点が大きな特徴だ。

研究グループは、ディスプレイ表面に形成した超微細構造について、精密な制御理論を提案。また、構成材料の屈折率を最適化することで、環境の明るさに左右されず光の反射を抑制することに成功したという。その結果、高い視認性を維持しながら、紙の印刷物のように見える表示を可能とし、長時間使用しても目の疲れが少ないという特長を実現したとのこと。

同技術は前述のように、自動車用や医療用ディスプレイへの応用が期待されるほか、学校教育などで拡がりを見せるタブレット端末の利用に対し、子どもたちの目への配慮が求められるなか、安心して使用できる情報機器への応用も期待される、としている。