STMicroelectronicsは4月28日、電池駆動やエナジーハーベスティング機器での“常時駆動型(Always‑on)ビジョン”を可能にする低消費電力イメージセンサ「VD55G4(IR・モノクロ)」および「VD65G4(RGB・カラー)」を発表した。これらは同社のイメージセンサ群「ST BrightSenseファミリ」に位置付けられるもので、ウェアラブル、AR/VR、スマート家電、医療機器などの次世代パーソナルデバイス市場を主なターゲットとしている。
常時“見る”ことが求められる次世代デバイス
スマートグラスやAR/VRヘッドセット、ウェアラブルデバイスでは、ユーザーの動作や周囲環境を常に把握し、必要に応じて即座に反応する常時オンのビジョン機能の重要性が高まっている。一方で、こうしたデバイスは小型・軽量であることが求められ、搭載できる電池容量も限られるため、イメージセンサにも厳しい消費電力制約が課せられてきた。
同社はこの課題に対し、従来の連続ストリーミングではなく、変化を検知したときのみ処理系を起動するイベント駆動型のアーキテクチャを取り入れることで、常時センシングと低消費電力の両立を図ることを可能としたとする。
グローバルシャッターで最大10分の1の消費電力化を実現
2製品ともに低消費電力設計のグローバルシャッター方式イメージセンサであり、約800×700画素・10fps動作時において、従来型のグローバルシャッターイメージセンサと比べて消費電力を最大10分の1に低減することができるとしている。
また、NIPI CSI-2、SPI、 I2C、I3Cなどマイクロコントローラ(MCU)やコスト効率重視のSoCと直接接続しやすいインタフェース構成を採用することで、低電力なエッジAI処理との親和性を高めたともしている。
ウェアラブルからエネルギーハーベスティング用途まで視野
ターゲットアプリケーションとしては、ウェアラブル機器やAR / VRおよびXRヘッドセット、スマート家電、医療機器などとしているが、主な用途としてはウェアラブル機器では視線検出や存在検知、コンテキスト認識など、AR/VRやXRヘッドセットでは、トラッキングや空間認識に必要な視覚情報としている。
また、太陽電池や環境発電(エナジーハーベスト)で動作する画像システムにも適用できるとしており、IoTや医療分野での常時監視用途への展開も視野に入れている。
デバイスだけでなく“使える”環境まで整備
なお2製品は同社の仏クロル工場にて、300mmウェハベースの65nm/40nmプロセスを用いた3次元積層アーキテクチャにてすでに製造が開始されている。
また同社はセンサ単体の提供にとどまらず、STM32やRaspberry Pi向け開発ボード、カメラモジュール、評価用ソフトウェア、SDKなどを含む開発エコシステムの拡充も進める方針で、こうしたリソースを活用することでシステム設計者に対する常時駆動可能な画像システムソリューションの開発および導入の迅速化を促進していくとする。
小型・低消費電力デバイスでの常時センシング需要が高まる中、今回の2製品の市場投入は、STが自社のイメージセンサをエッジAI時代に求められる画像素子として位置づけていることを示す動きといえそうだ。