日本IBMは4月21日、次世代半導体人材の裾野拡大を目的に、同社のCSRプログラム「IBM SkillsBuild」のオンライン学習プラットフォームを通じて、ゲーミフィケーション型の半導体設計学習プログラム「The Game」の提供を開始したと発表した。文系・理系を問わず、学生が無償かつ自律的に半導体設計の基礎を学べる環境を整えることで、国内で深刻化する半導体人材不足への対応を図る。
半導体設計を「体験」から学ぶゲーミフィケーション
「The Game」は、半導体の用途や要件、コストといった制約条件の下で、半導体回路の構成要素であるIPコアを選択・組み合わせながら全体の回路を構成するカードゲーム形式の学習プログラム。プレーヤーは、性能とコストのトレードオフを意識しつつ回路を設計することで、SoC設計に求められる基礎的なスキルや考え方を実践的に理解することができるとする。
専門知識を前提とせず、ゲームを通じて学習を進められる設計とすることで、半導体分野への心理的なハードルを下げ、関心を喚起する狙いがある。これまでに、東京科学大学や九州大学、慶応義塾大学などで活用されてきたという。
SkillsBuildを通じて全国の学生へ無償提供
今回の取り組みの特徴は、「The Game」をIBM SkillsBuildのオンライン学習プラットフォーム上で提供する点にある。これにより、日本全国の大学生、高専生、短大・専門学校生、大学院生などの学生たちが、地域や時間に制約されることなく無償かつ自律的に、現場で役に立つ半導体設計のスキル習得に取り組むことができるようになった。
また、大学などの教育機関での活用に向けて指導者用の活用ガイドも提供されるため、講義や演習の一部として組み込むことも可能となったとする。オンライン教材でありながら、教員のファシリテーションによる対面型・グループ型学習にも組みこめる設計としたことで、ゲームを通じた効果的なグループ学習やディスカッションの実践も期待できるようになるとする。
社会人への展開も検討
半導体が国家の戦略的物資と位置付けられ、その存在が重要視される中、そこに関わる若手人材の不足は、技術者の高齢化や産業競争力、経済安全保障の観点からも重要な課題とされることもあり、「The Game」の通じた半導体教育が大学や高専と産業界をつなぐ裾野拡大型の人材育成モデルとなることが期待される。
IBM SkillsBuildは、AIやサイバーセキュリティ、クラウドなどのテクノロジー分野やデザイン思考などの職場スキルに関する1000以上のコースを20の言語で提供するオンラインのCSRプログラムであり、今回の半導体設計教材の展開は、その取り組みを半導体人材育成へと拡張する動きと捉えられる。
そのため日本IBMでは今後、「The Game」を学生に限らず、キャリアチェンジやスキルアップを目指す社会人へも展開することを検討しているとのことで、人材不足が課題となる半導体分野に向けて、教育および学習といった側面から持続的な支援を続けていく構えを見せている。