スウェーデン・カロリンスカ研究所は10月8日(現地時間)、ノーベル化学賞の受賞者を発表。「金属有機構造体(MOF)」を開発したことなどを理由に、京都大学 理事・副理事長 総合研究推進本部長の北川進特別教授ら3名に贈られることを発表した。
受賞者は北川氏に加え、豪・メルボルン大学のリチャード・ロブソン教授、米・カリフォルニア大学バークレー校のオマール・M・ヤギ教授。
MOFは、気体などの分離・回収・貯蔵を効率的に行える技術として注目が集まる多孔性材料で、1990年代後半ごろから研究が活発化し実用化に向けた動きが加速している。1989年にロブソン氏が提案したMOFについて、北川氏やヤギ氏は安定的な製造方法の基盤確立に尽力。同氏は構造物に対して期待が流入・流出することを解明し、MOFが柔軟にできることを予測した。
これらの発見を礎として、現在では数万種類ものMOFが開発されており、水からのPFAS(有機フッ素化合物)の分離や、二酸化炭素(CO2)回収技術への活用など、さまざまな環境課題の解決に貢献しうるとして期待されている。
なお今年のノーベル賞では、生理学・医学賞を受賞した坂口志文氏に続き日本人で2人目の受賞に。また化学賞の受賞は、2019年の吉野彰氏以来9人目となる。

