営利企業化を目指すOpenAIに対し、Microsoft(マイクロソフト)が交渉を行わず、既存契約の継続を維持することを検討しているという。
マイクロソフトは2030年まで既存契約維持の方針
OpenAIはマイクロソフトより多額の出資を受けており、営利企業化にあたってマイクロソフトの承認が必要となる。
同社は、OpenAIとの新たな合意に向けて交渉を開始したものの難航しており、OpenAIはMicrosoftの態度に対し独占禁止法違反として当局に申し立てを検討しているという報道が出ていた。
年末までに合意に至らなければ、ソフトバンクなど他の投資家からの数十億ドル単位に及ぶ資金調達を失う可能性があるという。マイクロソフトは、これまでの投資の見返りとして再編後のOpenAIの株式を20%~40%保有することなどを主張していたという。
同社は現在、最大920億ドルの収益の20%を受け取る権利を持っており、それを継続することも主張しているとのこと。技術面では、OpenAIのモデルの独占販売権、優先的にインフラを提供する権利などを有している。
マイクロソフトは契約を見直すことなく、2030年まで既存契約を維持する方針を検討している。なお、Microsoft CEO Satya Nadella氏はAIモデルのコモディティ化を予想しており、OpenAI依存からの脱却を進めており、5月にはxAIの「Grok」のサポートも実現している。
交渉に詳しい関係者は「市場が気にするのはマイクロソフトの収益であって、OpenAIの株式をどれぐらい保有しているかではない」とFinancial Timesにコメントしている。
5月に続き、人員削減も計画か
マイクロソフトについては6月19日、Bloombergが人員削減計画を報じている。AI分野への投資を背景に、営業部門を中心に数千人規模の人員を削減するというもの。
同社は5月に6000人規模の人員削減を行っているが、この時は主として製品開発やエンジニアリング部門が中心だった。
今回は営業が中心だが、それに限定されない可能性もあるようだ。なお、同社は4月に中小規模企業向けソフトウェア販売の一部を外部に委託する方針を従業員に伝えているという。この変更も人員削減につながる要因の1つのようだ。
最新の人員削減計画は7月にも発表される見込み。会計年度が終了した後に実施されると報じている。