サンリオエンターテイメントとBHQは5月23日、パナソニックホールディングスの協力を得て、「Kawaii」を通じた市民科学BHQ(脳の健康)研究を構想し、脳科学を専門にしないビジネスパーソンであっても、みんなでなかよく研究を進める「Kawaii BHQ研究」を開始することを発表した。
3社は説明会を開催し、「Kawaii BHQ研究」の紹介や脳年齢を測定するとともに、脳が喜ぶKawaiiキャラを脳に聞く、デモンストレーションを実施した。
説明会には、ブレインインパクト 理事長/京都大学 特命教授 山川義徳氏、サンリオエンターテイメント 代表取締役社長 小巻亜矢氏、BHQ 副社長/京都大学 客員教授 岡本摩耶氏、パナソニック ホールディングス 元プロダクト解析センター 所長 難波嘉彦氏が登壇した。
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左からBHQ 副社長/京都大学 客員教授 岡本摩耶氏、パナソニック ホールディングス 元プロダクト解析センター 所長 難波嘉彦氏、サンリオエンターテイメント 代表取締役社長 小巻亜矢氏、ブレインインパクト 理事長/京都大学 特命教授 山川義徳氏
表情からBHQの推定を行う「クイックBHQドック」
国際標準の脳の健康指標である「BHQ(Brain Healthcare Quotient)」は、元々は内閣府が実施した「ImPACT」という研究プロジェクトを通じて開発された、日本発の「脳の健康指標と国際標準化」に関する取り組み。
MRIを活用して脳を撮像した画像データを解析して算出される脳の健康管理のための指標。新たな常識としての「脳の健康状態のモノサシ」としての機能を持っており、「脳の年齢」や「脳の強み」がわかるという。
「これまで身体のモノサシは、体重・体脂肪・筋肉量・肺活量・コレステロール値・骨密度・血管年齢……などたくさんありました。しかし、脳ドッグにおいては『異常なし』という結果が出たらそのままで終わってしまうということが多々あり、自分の脳の状態が良いのか分からないという課題がありました」(岡本氏)
このような課題から開発された「BHQ」だが、今回、パナソニックと京都大学が連携し、MRIを使用せず、これまでに蓄積されたデータをもとに、表情からBHQの推定を行う「クイックBHQドック」を共同開発した。
これは、顔の特徴点の動き(速さや大きさ)を解析するもので、パソコンに向かって笑顔・怒った顔・驚いた顔・悲しい顔の表情を5秒間向けるだけで、その表情から実年齢と脳の健康年齢の差を測定することができるという。
サンリオキャラで脳を健康に?
さらに、サンリオエンターテイメントと共同で「BHQサーチ~脳が喜ぶ行動を探そう~」というテーマで、「どんなキャラクターが脳を喜ばすことができるのか?」を調べるツールを開発した。
これは、パソコンのWebカメラに顔を向けた状態で、画面に出てくるサンリオのキャラクターたち(シナモロール・ポチャッコ・クロミ・ポムポムプリン)を15秒間見つめることで、キャラクターたちが脳に与える影響が分かるというもの。
キャラクターを見つめている際の脳の動きを「開放性・将来希望・公平性・感情多様性・モチベーション・自己肯定感」といった項目で測ることができ、「意識的に好きなキャラクターと脳を一番喜ばせてくれるキャラクターが違う」という結果になることもあるという。
この取り組みについては、パナソニックの協力のもとで「Kawaiiに縁遠い職場でKawaiiを周りに置くことにより、脳を健康にすることができるのか」という実証を行ったという。
具体的には、BHQサーチを活用し、自分の意識では気が付かない自分の脳が喜ぶキャラを探索し、そのキャラクターのグッズ(カレンダー・ステッカー・メッシュポーチ・カチューシャ)を身の回りに置くことで、Kawaiiに触れて心を穏やかに、脳を健康にするかどうかを検証した。
この結果、通常であれば金曜日に向けて徐々に下がっていくBHQのスコアについて、Kawaiiに触れていることで金曜日に向けてさらに上昇していくことがわかったという。
今回の結果を受けて、山川氏は「Kawaiiは脳を健康にでき、生産性を高める可能性が認められる」としたうえで、今後は本格的な市民化学の研究推進を計画していくと述べた。