EPYC 4004の後継となるZen 5ベースのEPYC 4005

AMDは5月13日、「EPYC 4005シリーズ」プロセッサを発表した。これに先立ち事前説明会で詳細が説明されたので、その内容をご紹介したい。

今回発表のEPYC 4005シリーズは、2024年に発表された「EPYC 4004シリーズ」の後継にあたる。

EPYC 4004がZen 4のRaphaelベースだったのに対し、EPYC 4005はZen 5の「Granite Ridge」(開発コード名)ベースとなる(Photo01)。

  • ターゲットはSMBとホスティングサービス

    Photo01:ターゲットはSMB(中堅・中小企業)とホスティングサービスなどに向けたもので、これはEPYC 4004シリーズと変わらない

Zen 5コアとDDR5-5600への対応で性能向上

AMDによればこの1年でEPYC 4004シリーズはその価値が認められて確実にシェアを増やしているようで、今回のEPYC 4005シリーズでさらにそれを押し広げてゆく方向性を示した(Photo02)。

  • “A trusted choice”は流石に言い過ぎではないかと思わなくも無い

    Photo02:だからといって“A trusted choice”は流石に言い過ぎではないかと思わなくも無い…

ちょっとスライドが前後するが、EPYC 4005シリーズのユースケースやターゲット市場がこちら(Photo03)。

  • CI/CDのビルド用サーバ向けとかだろうか

    Photo03:「Code Development」と書かれているが、CI/CDのビルド用サーバ向けとかだろうか?

EPYCというかRyzen Embedded的な用途(リテールなどは、まさにそうだろう)も含まれている気がするが、EPYC 9000シリーズを持ち込むのはちょっと大げさ、という用途向けには確かに適切だろう。すでに多くのメーカー(Photo04,05)がEPYC 4004を利用したプラットフォームやソリューションを提供しており、こうしたメーカーによりEPYC 4005シリーズもサポートされてゆくとされる。

  • マザーボードを含めたハードウェアのソリューションを提供するベンダー

    Photo04:こちらはマザーボードを含めたハードウェアのソリューションを提供するベンダー。理論上はAM5マザーボードのBIOSアップデートで動作させることも不可能ではないが、ECC DIMMのサポートなどを考えると、こうしたEPYC 4000用マザーボードを使うのが賢明だろう

  • EPYC 4000シリーズを利用したホスティングサービスを提供するプロバイダー

    Photo05:すでにEPYC 4000シリーズを利用したホスティングサービスを提供するプロバイダー。EPYC 4005シリーズへの移行のタイミングはプロバイダーごとに異なると思われる

基本的にはEPYC 4004とプラットフォーム、というかSocket互換なEPYC 4005シリーズであるが、Zen 4からZen 5の変更で性能がさらに引きあがっている(Photo06)。

  • テストはPhoronix Test Suiteを実行した416個の結果を幾何平均したもの

    Photo06:テストはPhoronix Test Suiteを実行した416個の結果を幾何平均したものとされる

ここではIntelのエントリサーバ向けであるXeon 6300Pシリーズとの比較が行われているが、こちらはRaptor Lakeベースという事もあってZen 5ベースのEPYC 4005シリーズは6コアのEPYC 4245PですらXeon 6369Pを上回る性能だとしている。

ちなみに構成そのものはご覧の様に完全にGranite Rapidsそのまんまである(Photo07)。

  • DDR5-5600は1 DIMM/chの場合

    Photo07:ちなみにDDR5-5600は当然1 DIMM/chの場合で、2 DIMM/chの場合はDDR5-3600が上限になるとされている

コアがZen 5になって性能が上がった事と、DDR5-5600までサポートされること(EPYC 4004はDDR5-5200まで)程度の差でしかない。

Windows Server 2025のStandardライセンスで利用可能

今回特に特記されたのは、「Windows Server 2025」の「Standard 16 Core License」でEPYC 4005がギリギリサポートされる(Photo08)という話だ。

  • 厳密に言えば、さらに安いStandard 2 Core License(200ドル弱)もある

    Photo08:厳密に言えば、さらに安いStandard 2 Core License(200ドル弱)もあるが、流石に2 Core Licenseでは色々支障がありすぎる

この16コアがローエンドで、実際には他にStandard 24 Core(16コアよりも価格は上)があり、その上はDatacenterエディションになる訳だが、ここでの主張はEPYC 4005では16コアまでStandardのライセンスでそのまま行ける(追加費用が掛からない、CAL:Client Access Licenseはまた別)ということで、ソフトウェアコストを抑えつつ高い性能を享受できる、としている。

またIntelのXeonシリーズだとVROC(Virtual RAID on Chip)機能が提供されるが、EPYC 4005シリーズにはこれの対抗として「RAIDXpert2 for Server」が提供されるとしている(Photo09)。

  • 随分懐かしい名前で出て来た

    Photo09:また随分懐かしい名前で出て来たな、と思わざるを得ない。ちなみにEPYC 4004でも利用できるかどうかは不明。EPYC 4005のみのサポートかもしれない

EPYC 4005シリーズのNaming Convention(命名規則)(Photo10)はEPYC 4004の時と変わらない。

  • 数字の末尾が5になるだけ

    Photo10:数字の末尾が5になるだけ

SKUとしては6製品(Photo11)が用意される。ちなみにこちらの表には価格が掲載されていないがいずれも1000個当たりの価格で以下の通りとなっている。

  • EPYC 4565P:589ドル
  • EPYC 4545P:549ドル
  • EPYC 4465P:399ドル
  • EPYC 4345P:329ドル
  • EPYC 4245P:239ドル
  • EPYC 4585PX:699ドル
  • 3D V-CacheはEPYC 4585PXのみ

    Photo11:3D V-CacheはEPYC 4585PXのみ。こちらもRyzen同様、片方のダイのみ3D V-Cache搭載となっている(ので、L3の容量が合計128MBである)