Infineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)は4月14日(独時間)、ショットキーダイオードを内蔵した産業用GaNパワートランジスタとして中電圧CoolGaNトランジスタ「G5ファミリ」を発表した。

ハードスイッチング アプリケーションにおけるGaNベースのトポロジーでは、GaNデバイスの実効ボディダイオード電圧(VSD)が高いため、電力損失が大きくなる可能性があり、コントローラのデッドタイムが長いと状況が悪化し、効率が目標より低下する可能性がある。そのため、これまでの電源設計においては多くの場合、外付けショットキーダイオードをGaNトランジスタと並列接続するか、コントローラを介してデッドタイムを短縮するといった工夫が取られてきたという。

同ファミリは、サーバや通信IBC、DC-DCコンバータ、USB-Cバッテリ充電器用同期整流器、高出力PSU、モータードライブでの使用に適したショットキーダイオードをGaNトランジスタに内蔵することで、そうした課題の解決を図ることを可能としたとする。

また、GaNトランジスタの逆導通電圧(VRC)は、ボディダイオードが存在しないため、しきい値電圧(VTH)とオフ状態ゲートバイアス(VGS)に依存するほか、GaNトランジスタのVTHは一般にシリコンダイオードのターンオン電圧より高いため、第3象限とも呼ばれる逆導通動作中の不利な状況が生じることから、同ファミリは逆導通損失が低く、幅広いハイサイドゲートドライバと互換性があり、デッドタイムの条件を緩和することができるため、使用可能なコントローラの互換性が広がって、設計を簡素化することができるようになるという。

なお、同ファミリの最初の製品は、3mm×5mm PQFNパッケージに収納された100V 1.5mΩのトランジスタで、現在、エンジニアサンプルとターゲットデータシートは顧客の要望に応じて提供が可能な状況になっているという。

  • CoolGaNトランジスタG5ファミリのパッケージイメージ

    CoolGaNトランジスタG5ファミリのパッケージイメージ (出所:Infineon)