東京ビッグサイトにて12月11日~13日にかけて開催されている半導体産業の国際展示会「SEMICON Japan 2024」にて、キヤノン、キヤノンアネルバ、キヤノンマシナリーのインダストリーグループを構成する3社で、半導体製造の前工程から後工程まで全体を通して対応可能なソリューションの紹介を行っている。
高速ダイボンダーの実機デモを目の前で体験
同ブースの目玉の1つは、キヤノンマシナリーが11月に発表したばかりのIC/LSI向けダイボンダー「BESTEM-D610」の実機がデモを行っている様子を目の前で見ることができること。ダイサイズは0.3mm~15mm角まで対応し、新開発のピックアップエンジンを採用することで小型の0.3mm角クラスの小型ダイであれば1時間あたり2万UPH(Unit Per Hour)、15mm角のLSIでも、シミュレーションで接着剤の最適な塗布環境を把握、実際にそうした形状で塗布しつつも6000UPHを実現できるとする。
また、これまで同社のダイボンダーはマウスなどを使って操作を行ってきたが、ユーザーインタフェースを刷新。すべてタッチパネルで操作できるように改良を行い、操作性や使い勝手を向上させたという。
グッドデザイン賞金賞を受賞した成膜装置
また、同ブースには2024年度のグッドデザイン賞、しかも金賞(審査対象件数5773件の中から20件が受賞)を受賞した製造装置2機種の紹介も行われている。1機種目はキヤノンアネルバが10月に発表したまったく新しい成膜装置シリーズ「Adastra(アダストラ)」。従来から、同社は成膜向けスパッタリング装置を手掛けてきたが、それらの多くは実に製造装置らしい四角い外観と、そこから付帯設備への配管などが外部に出ているというものであった。Adastraは、そうした無骨といったイメージを持ちやすい半導体製造装置のイメージを一新するべく、キヤノンの総合デザインセンターの協力を設計段階から得る形で開発が進められた成膜装置で、クリーンルームにおけるメンテナンスなどもデザイナー自らが体験。メンテナンス性などを配慮しつつ、電源の改良による小型化などを実現。その結果、ケーブル使用量は従来機比で7割削減できたほか、フットプリントも3.3m×4.0m(シングルコア時。タンデムコアの場合は5.6m)と、同42%削減。外にはみ出る部分やケーブルが減ったことから、設置コストや設置工数も削減できるメリットが生み出されたという。
また、小型化したことにより資源使用量を7%削減、輸送エネルギーも8%削減できるほか、システムとしてエネルギー由来のCO2排出量も18%削減、そして冷却機構の見直しによる市水使用量の55%削減を実現と、環境に配慮した成膜装置となっている。
さらに、単に環境配慮型というだけならず、その性能としてもこれまで同社が提供してきた半導体ならびに電子部品向けチャンバのすべてを搭載可能で、同じプラットフォームデザインでありながら、さまざまなユースケースに柔軟に対応することができるほか、搬送ロボットや制御ソフトウェアなど、さまざまなものを内製することで最適化を推進。1チャンバあたり100枚/時のウェハ処理を可能としたという。
2機種目はナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」。こちらは発表そのものは2023年だが、初号機が2024年9月に米国テキサス州にある半導体コンソーシアム「Texas Institute for Electronics(TIE)」に出荷されたことで話題となった。
もともとパートナーであるキオクシアの四日市工場で試験が続けられてきたが、同装置の発表以降はロジック/ファウンドリメーカーやDRAMメーカーからの声がかかるなど、各地の半導体メーカーが興味を示している模様である。
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ブースでは実際にデュアルダマシンで配線パターンを形成した300mmウェハが初展示されているほか、300mmウェハベースの計算機合成ホログラム(Computer-Generated Hologram:CGH)やメタレンズも展示されている
ちなみにグッドデザイン賞の受賞理由はいくつかあるのだが、そのうちの1つとしてクリーンルームのイエローランプ下という特殊環境でも、白と濃いグレーの本体配色は印象が変わりにくく、高コントラストの操作パネルによる視認性の高さといったものも挙げられている。
このほか、同社ブースでは2025年下半期に正式発表が予定されているArFドライ露光装置「FPA-6300AS6」のパネルが参考展示されている。こちらは、65nmプロセス対応の露光装置で、スループットが1時間あたり300枚以上という高速処理をうたい文句としている。










